金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2008年09月11日

閉塞性動脈硬化症、ABI&PWV、プレタール、プロサイリン、ドルナー

 

ASO 1)閉塞性動脈硬化症とは

下肢への動脈が動脈硬化のため狭窄して、血流が悪くなる病気です。

 病気の進行度にはランクがありますが、内科で診せていただくこの病気の患者様は、長く歩いていると、下腿が痛くなるということで受診されることが多いです。

 しかし、痛くなってもしばらく休んでいますと痛みがやわらいで、また歩行可能になります(間歇性跛行と言います)。休むと痛みがとれるので大丈夫ではなく、早々に対処する必要があります。




2)閉塞性動脈硬化症の治療


1. 原因疾患の治療:糖尿病、高血圧症、高脂血症などの病気をお持ちのことが多いです。それらの病気の治療を充分に行います。

2. 禁煙:絶対禁煙が必要です。

3. 血流改善薬:アスピリンは抗血小板薬ですが、下肢血流改善作用はありません。まず、プレタール、プロサイリン、ドルナーなどの血管拡張作用を併せ持つ抗血栓薬から薬剤を選択して投与したいです。
進行例では、バイパス術と言った外科手術が必要になりますが、進行例でなければ、プレタール、プロサイリン、ドルナーは特効薬です。著効いたします。
ただし、これらの薬剤には副作用があります。頭重、顔のほてり、動悸が高頻度でみられます。とくに内服を開始して1ヶ月以内でみられやすいようです。
ただし、この時期をクリアできますと、副作用は気にならなくなることが多いですので、なんとか乗り切っていただきたいところです。
なお、管理人は副作用を少なくする目的で、少量から開始して少しずつ増量するようにしています。また、アスピリンなど他の抗血栓薬を併用することもあります。

4. 運動療法:上記の薬物を内服した状態で、散歩を励行していただきます。
これは、新しく血管(バイパス血管)を発達させるためです。万一、動脈本幹が閉塞してしまっても、バイパスの血管が発達していますと、緊急手術に至らずにすみます。ただし、重症例では、運動療法をできない場合がありますので、慎重に評価いたします。



3)他の動脈硬化症に注意

この病気を有した患者様は、全身の他の血管も動脈硬化が進行していることが多いです。そういう意味で、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などにもなりやすいですので、全身のチェックが必要です。



4)早期診断のために

糖尿病、高血圧症、高脂血症などの病気をお持ちの患者様は、定期的に下肢血流が悪くないかどうかの検査をしていただいています。
ABI(PWV)という検査です(心電図と血圧をたして2で割ったような検査です。全く痛くない検査です)。この検査で、自分の血管年齢も分かります。

 管理人は、健康診断のルーチン検査にしてはどうかと思っています。




(補足)
ABI:ankle brachial indexの略

足首と上腕の血圧を同時に測定して、その比を算出することで下肢への血流をチェックします。健常人の場合、足首の血圧は上腕の血圧よりも高いですが、閉塞性動脈硬化症では下肢の血流が悪くなるため足首の血圧の方が低くなります。ABI<0.9では、下肢動脈の狭窄または閉塞を疑います。

PWV(pulse wave velocity)により、動脈硬化の程度(血管年齢)も同時に分かります。


なお、画像は、Amazonからの引用です。

 

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 20:07| 血栓性疾患 | コメント(0) | トラックバック(0)

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