金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年07月27日

小児抗リン脂質抗体症候群の治療:小児APS(11)

小児の感染症惹起抗リン脂質抗体症候群:小児APS(10)より続く。

 
 
【小児抗リン脂質抗体症候群の治療】

現在、小児抗リン脂質抗体症候群(APS)の最適な治療法に関する臨床研究はありません(参考:抗血栓療法)。

小児APSは、成人(3-11%)に比べて血栓症の再発率が高く(19-29%)、無治療や抗凝固療法中止後に再発しやすいことが知られています。

Ped-APS試験では、静脈血栓症患者では全員が長期間抗凝固療法を受けていましたが、動脈血栓症患者では40%しか抗凝固療法あるいは抗血小板療法を受けていませんでした。

Avcin T, et al.: Pediatric antiphospholipid syndrome: Clinical and immunologic features of 121petients in an international registry. Pediatrics 122: e1100-e1107, 2008.

 

再発率が高いことより、再発予防が最も重要であり、長期の抗凝固療法が必要です。

したがって、成人抗リン脂質抗体症候群(APS)と同様に、初回静脈血栓症患者に対してはINR2.0〜3.0を目標とした中用量のワルファリン内服で、再発を繰り返すような患者に対してはINR3.0以上を目標にワルファリンコントロールすることが妥当と考えられます。

一方、動脈血栓症の患者に対しては推奨される治療法は現在のところありませんが、2006年AHA/ASAのガイドラインに準じて、ワルファリンよりもむしろ抗血小板剤の投与が望ましいと考えられます。

Sacco RL, et al.: Guidelines for prevention of stroke in patients with ischemic stroke or transient ischemic attack: a statement for healthcare professionals from the American Heart Association/American Stroke Association Council on Stroke: co-sponsored by the Council on Cardiovascular Radiology and Intervention: the American Academy of Neurology affirms the value of this guideline. Stroke 37: 577-617, 2006.

 

将来的には、小児APSに適した診断基準ならびに治療法が提唱されることが望ましいと思われます。

 

(続く)

小児の抗リン脂質抗体症候群(インデックスページ)



【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:02| 血栓性疾患