金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年02月01日

移植前評価:造血幹細胞移植入門(23)

造血幹細胞移植入門(インデックス)


造血幹細胞移植入門:適応の考え方と移植前評価


<移植適応の考え方>

1990年代にミニ移植が始まってから造血幹細胞移植の適応は急激に拡大し、60歳代の患者や臓器障害を有する患者にも、移植が治療選択肢の1つに考えられるようになってきました。

ただし、造血幹細胞移植は、通常の化学療法や放射線治療、免疫抑制療法より毒性が強く、治療に伴う死亡(治療関連死亡)も多いため、造血幹細胞移植の適応は、それ以外の治療法より生存期間や生活の質(quality of life: QOL)が上回る症例に限られます。



<移植前の評価>


同種造血幹細胞移植の適応が考慮された患者は、移植前の全身状態と合併症(comorbidity)を評価し、HCT-CIスコア(下表)を算出します。

 

表5-1

Sorror ML, Maris MB, Storb R, et al. Hematopoietic cell transplantation (HCT)-specific comorbidity index: a new tool for risk assessment before allogeneic HCT. Blood. 2005;106:2912-2919.


これは、造血幹細胞移植の予後予測に有用です。


HCT-CIスコアの合計が3点以上の場合、予後は著しく不良であり、造血幹細胞移植を行うべきか慎重に判断します(下図)

図5-1


なお、HCT-CIは、多発性骨髄腫に対する自家造血幹細胞移植前の評価にも役立ちます。

Labonte L, Iqbal T, Zaidi MA, et al. Utility of comorbidity assessment in predicting transplantation-related toxicity following autologous hematopoietic stem cell transplantation for multiple myeloma. Biol Blood Marrow Transplant. 2008;14:1039-1044.

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:36| 血液疾患(汎血球減少、移植他)