金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年04月03日

移植後再発治療の種類:造血幹細胞移植入門(52)


造血幹細胞移植入門(インデックス)

 

造血幹細胞移植入門:移植後再発治療の種類
同種造血幹細胞移植は同種抗腫瘍効果を期待して行われますが、一定の割合で再発し、今のところ再発を防ぐ有効な方法はありません。

しかも、過去20年間再発死亡率は減っていません。

Gratwohl A, Brand R, Frassoni F, et al. Cause of death after allogeneic haematopoietic stem cell transplantation (HSCT) in early leukaemias: an EBMT analysis of lethal infectious complications and changes over calendar time. Bone Marrow Transplant. 2005;36:757-769.


したがって、再発対策は再発後治療が中心となります。


再発治療は、(1)免疫療法、(2)化学療法・放射線治療、(3)緩和ケアに大別されます(以下の表)。



再発後治療の種類と効果(長期寛解率)

1    免疫療法

・免疫抑制療法中止(0%)
・DLI(CML慢性期)(50-80%)
・DLI(AML/MDS)(10-20%)
・DLI(ALL)(0-10%)
・DLI(骨髄腫)    (40-50%)
・DLI(悪性リンパ腫)(10-60%)
・再移植(5-30%)
・サイトカイン療法(0-10%)
・養子免疫療法(10-20%)
・抗体療法(0-5%)

2    化学療法・放射線治療(0-5%)

3    緩和ケア
(0%)


これらを組み合わせて治療することが多いです。

チロシンキナーゼ阻害薬の効果が期待できるCML慢性期再発を除き、移植後再発の長期生存にGVL効果誘導は不可欠です。

長期生存を期待するには免疫療法は不可欠ですが、ランダム化試験で確認されたエビデンスはありません。



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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:18| 血液疾患(汎血球減少、移植他)