2011年04月05日
移植後再発治療の評価:造血幹細胞移植入門(53)
造血幹細胞移植入門:移植後再発治療の評価
再発後治療成績を評価する場合、以下は念頭におく必要があります。
(1)初回移植以上の成績は期待できないこと。
(2)免疫療法を行わない場合の治療成績が極めて不良であること。
初回移植後の5年生存率 は以下の通りです。
・急性骨髄性白血病(AML)45%
・急性リンパ性白血病(ALL)45%
・成人T細胞性白血病リンパ腫(ATL)27%
・慢性骨髄性白血病(CML)58%
・非ホジキンリンパ腫(NHL)5%
・ホジキンリンパ腫(HL)64%
・骨髄異形成症候群(MDS)48%
・多発性骨髄腫(MM)50%
(日本造血細胞移植学会平成20年度全国調査報告書より)
再発後治療の成績はこれが上限となります。
免疫療法を行わない場合、移植後急性白血病再発の5年生存率は5%程度、長期生存率はほぼ0%です。
Mortimer J, Blinder MA, Schulman S, et al. Relapse of acute leukemia after marrow transplantation: natural history and results of subsequent therapy. J Clin Oncol. 1989;7:50-57.
CML慢性期再発は、DLIで初回移植と同等の治療成績が期待できます。
ただし、imatinibにより、移植適応のCMLは激減しています。
低悪性度非ホジキンリンパ腫も、CML慢性期に匹敵する成績が報告されています。
これらを除くと、免疫療法の奏功率は10-30%程度、長期生存率は10-20%です。
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【リンク】金沢大学血液内科・呼吸器内科関連
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:09| 血液疾患(汎血球減少、移植他)