金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年12月01日

キノコの山をめぐる冒険(4)ドクターBJ

キノコの山をめぐる冒険(3)慢性咳嗽より続く。


「キノコの山をめぐる冒険(広州編)」(4)   by   小川晴彦

学会6

その晩、Welcome dinnerは、会場からはなれた、高層ビル最上階で開催された。

眼下に広がる夜景のなかに、広州タワーが光を放っている。

突然のスモークと照明に目がくらんだ。

おおーっというどよめきのなかに、会場の天井が、大きく左右にわかれて収納されていくと、瞬く間にオープンエアーのフロアーに様変わりし、宴は最高の盛り上がりをみせた。

学会5

「おーい、BJ! こっちだ。 集合写真だ。 早く。」
Prof Nanshan Zhongが、ひときわ大きな声で私を呼ぶと、みなが、“BJ、BJ”といって手招きした。

どうやら、ぼくのニックネームは BJに決まったらしい。


「今日は本当にありがとう。

会場からのすごい熱気は、きみがうまく通訳してくれたからだね」

彼女が微笑んだ。

「this way こっちよ」

彼女が指さしたのは、みんなを待つバスの方向だった。

そしてそれが、彼女とかわした最後の言葉になった。


これでもかといわんばかりに、両手にお土産をもたされて、修学旅行のような、にぎやかなバスは静かにドンファンホテルへと動き出した。


翌日、すべてのプログラムが終了し、一般演題の優秀賞の授与が終わると、それに続いて、講演を行ったメンバー全員が壇上へと招かれた。

安堵と充実感、そして連帯感。

この仕事をやってきてよかった。

ここに来られて本当によかった。

何度も喜びをかみしめ、感謝の気持ちに満ちあふれた。


* 2013.11.10.広州空港。

午前9:15 成田行きANA933便が離陸した。

キノコの山をめぐる冒険 広州編が、もうすぐ幕をとじる。

初めての中国。

初めての国際学会での招請講演。

大きく一息ついた。

そして、淡い面影が薄らいでゆくころ シートベルト着用サインが消え、ぼくは浅い眠りにおちた。

(続く)キノコの山をめぐる冒険:インデックス

 

 <リンク>:臨床に直結する血栓止血学

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:55| その他