金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年08月30日

悪性腫瘍(癌)と血栓症(11)Khorana VTEリスク評価スコア

悪性腫瘍(癌)と血栓症(10)VTE予知とD-ダイマーより続く

悪性腫瘍(癌)と血栓症(11)Khorana VTEリスク評価スコア


担癌患者でのVTE発症リスク評価のためのスコア

表1

(Blood. 2013; 122: 2011-8)


癌患者の臨床および検査所見からVTE発症のリスクを層別化しようとする「Khorana VTEリスク評価スコア」があります。

Khorana AA, et al. Development and validation of a predictive model for chemotherapy-associated thrombosis. Blood. 2008; 111: 4902-7.

Thaler J, et al. Venous thromboembolism in cancer patients - risk scores and recent randomised controlled trials. Thromb Haemost. 2012; 108: 1042-8.


化学療法開始前に上表で示される項目を評価して総スコアを算出するものです。

経過観察の2.5ヶ月でのVTE発症リスクは、低リスク群(スコア0)では0.3%、中等度リスク群(スコア1〜2)では2%、高リスク群(スコア≧3)では2%では6.7%です。


「Vienna VTEリスク評価スコア」
は、D-ダイマーとP-セレクチンの2つのバイオマーカーを追加しています(上表)。

Ay C, et al. Prediction of venous thromboembolism in cancer patients. Blood. 2010; 116: 5377-82.

このスコアでのVTE発症リスクは、スコア4では20.4%、スコア5以上では35%となります。



(続く)


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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:25| 血栓性疾患