2016年01月05日
金沢で学会をやるということ(5)何故学会長?
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報の原稿からです。
今回は、教授ノートです。
金沢で学会をやるということ(5)何故学会長?
by 中尾眞二教授
学会長を務めたいと思う動機は人によって様々です。
大学の教授を務めている以上、専門領域で最高峰の学会を地元に持ってこなければ、所属している大学や地元に対して格好がつかないと思う人もいれば、学会長を務めることによって後世に名を残したい、と思う人もいるようです。
私自身はあまり名誉にこだわる方ではないので、学会長に立候補した時点での一番大きな動機は、自分が専門とする造血幹細胞移植や骨髄不全の領域で活躍している海外の研究者を招くことによって、教室の若い人たちと海外演者との交流の輪を広げられる、という期待でした。
これは私自身が、服部絢一先生や松田保先生が金沢で学会を開催されたおかげで多くの海外研究者と交流を持つことができるようなったためです。
ただ、そもそも長の名前がつく仕事は好きではないので、会長役には決まったものの、開催日が近づくにつれて重圧を大きくなるのを感じていました。
しかし、2013年に札幌で開催された第75回日本血液学会学術集会で澤田賢一先生の会長講演を聞いた時に、会長役に対する考え方が大きく変わりました。
澤田先生の講演は内容も素晴らしかったのですが、澤田先生自身が「赤芽球癆という稀な病気をテーマにした講演にこれだけの人が集まったのは驚きです」と言っておられたように、かなり狭い領域の話でありながら、大会場が聴衆でほぼ一杯になっていたことに驚きました。
日本血液学会では、会長講演を始めとするいくつかの講演はプレナリーの形で行われます。
すなわち、同時進行中の他のプログラムがないため、通常であれば聴く人が少ないマイナーな領域の話であっても多くの人が聴いてくれることが分かりました。
それまでに気がつかなかった会長職の大きな役得に気付いたわけです。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:43| 研修医の広場