2009年4月17日
PT-INRと血栓塞栓症:血液凝固検査入門(36)
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心房細動(atrial fibrillation:Af)は、脳梗塞(心原性脳塞栓)などの血栓塞栓症の重要なリスクファクター(risk factor:危険因子)として良く知られています。
今回紹介させていただく成績は、大変示唆に富んでいます。
心房細動(atrial fibrillation:Af)の患者さんを対象に、ワルファリン(商品名:ワーファリン)を投与して、血栓塞栓症や出血の頻度がどうなるかをみたものです。
横軸はPT-INRです。この数字が大きくなるほど、プロトロンビン期間(prothrombin time:PT)の延長が高度でありワーファリンコントロールは強力であることを意味しています。縦軸はイベント発症率です。
全対としてはPT-INR 2.0〜3.0が最もイベント発症率が低いようです。
次に個々にみてみましょう。まず黒くつぶされている大出血の発症率を見てみましょう。ワーファリンが強力になるほど、特にPT-INR 5.0以上では大出血の頻度が高くなっています。これはうなずける結果です。
一方、斜線で示されている血栓塞栓症の発症率はどうでしょうか。PT-INR 1.0〜1.9とワーファリンコントロールが弱い状態では、血栓塞栓症の発症率は高くなってしまうようです。しかし、INR 4.0以上、あるいはINR 5.0以上と出血の副作用が懸念されるような強力なワーファリンコントロールを行いましても、血栓塞栓症の発症はやはり高頻度なのです。
これはどういうことかと言いますと、INRというマーカーは、出血しないかどうかをモニタリングすることは可能であるものの、決して効果判定のマーカーにはなっていないということを意味しています。
さて、それではどうすれば良いのでしょうか。。。。
(続く)
INR&F1+2と副作用&効果判定:血液凝固検査入門(37)へ
PT-INRは、以下の記事を御参照いただければと思います。
・PT(PT-INR)とは? 正常値、ワーファリン、ビタミンK欠乏症
・PT-INRとは(正常値、PTとの違い、ワーファリン)?
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 21:21 | 凝固検査 | コメント(0) | トラックバック(0)