出血症状、腹部大動脈瘤:金沢大学統合卒業試験
金沢大学医学部医学科では6年生対象に、先日、統合卒業試験が行われました(2009年11月12日)。
プレ医師国家試験的な意味合いと、卒業試験的な意味合いがあるのだと思っています。
統合卒業試験では、当科(金沢大学第三内科)と関連のある血液内科&呼吸器内科の問題も出題されていますので、それらの問題の紹介と簡単な解説を加えたいと思います。
設問
72歳男性。抜歯時に止血困難をきたしたため、精査目的に来院した。身体所見では、腹部に拍動性腫瘤を触知し、bruitを聴取した。また、抜歯部位からの出血が持続していた。
血液学的検査:白血球 5,200、赤血球 416万、Hb 14.1g/dl、血小板 6.2万、ALT 36単位、クレアチニン 0.9mg/dl、LDH 205単位(基準115-245)、PT 16.8秒(基準10〜14)、APTT 34.1秒(基準対照32.2)、フィブリノゲン87 mg/dl(基準200〜400)、FDP 68μg/ml(基準10以下)、CRP 0.1 mg/dl(基準0.3以下)、PIVKA-IIは陰性。
本症例における血液検査所見として誤ったものはどれか。
a プラスミノゲンの上昇
b 架橋化フィブリン分解産物(Dダイマー)の上昇
c プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)の上昇
d トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)の上昇
e プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)の上昇
【解説】
腹部大動脈瘤に合併した播種性血管内凝固症候群(DIC)(線溶亢進型DIC)の症例と考えられます。DICでは、Dダイマー、F1+2、TAT、PICの上昇がみられます。一方、プラスミノゲンは低下します。
【正答】 a
【シリーズ記事】
研修医の広場(金沢大学第三内科) ← 当科での研修の様子をご覧いただくことができます。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 19:07 | 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)