金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2019年7月31日

2019年度血液内科学系統講義試験

2019年度血液内科学系統講義試験の紹介です。


2019年7月30日 火曜日 試験時間 11時00分〜12時00分 (60分間)


問1.次の文が正しい場合○,誤っている場合×を記せ.


1)  造血幹細胞数のマーカーはCD34抗原である。
2)  胎生2ヶ月での主な造血臓器は肝である。
3)  成人における造血の場は主に長管骨である。
4)  正常骨髄では赤芽球系細胞の割合が骨髄系細胞の割合より高い。
5)  骨髄生検は主に骨髄の細胞密度を評価するため行う。
6)  幼若な顆粒球の中でアズール顆粒がもっとも目立つのは前骨髄球である。
7)  塗抹標本上の血球形態を観察するときは細胞の多いところを選んで観察する。
8)  ヘパリン加採血は血液細胞の形態観察に向いている。
9)  Drum stickは女性の好中球の一部にみられる。
10)  正常顆粒球はペルオキシダーゼ染色が陽性である。
11)  白血球数が3000/μl台は病的である。
12)  白血球中の好塩基球の割合は健常者では0.5%以下である。
13)  網赤血球数は約1週間で通常の赤血球に変わる。
14)  MCVの単位femtoliterのfemtoは10-12である。
15)  骨髄塗抹標本の鉄染色で鉄顆粒の有無を観察する細胞は赤芽球である。
16)  慢性炎症に伴う貧血では血清鉄・総鉄結合能がともに低下する。
17)  ヘプシジンはマクロファージからの鉄放出を抑制する。
18)  標的赤血球の存在はサラセミアに特異的である。
19)  形質細胞が流血中にみられた場合には病的と考える必要がある。
20)  血小板数が2万以上あれば自然出血を来すことは稀である。


問2.50歳の女性が労作時の息切れと倦怠感のため近医を受診したところ、血球減少を指摘され、血液内科に紹介された。

血液検査では白血球数2900/μl、 赤血球数184万/μl、ヘモグロビン7.9 g/dl、ヘマトクリット22.9%、血小板数5.5万/μl、であった。身体所見では舌乳頭の消失と、年齢不相応な白髪がみられた。
1)  MCV(四捨五入)値を冪数(乗)表示の単位をつけて記載せよ。
2)  疑われる疾患は何か。



問3.貧血について正しい結びつきはどれか。

a. 再生不良性貧血—網赤血球数の低下—抗胸腺細胞グロブリン
b. 悪性貧血—LDHの上昇—骨髄移植
c. 赤芽球癆—骨髄赤芽球の著減—シクロスポリン
d. 自己免疫性溶血性貧血—クームス試験陽性—蛋白同化ステロイド
e. 発作性夜間血色素尿症—造血幹細胞の異常—抗補体薬

1. (a) (b) (c) 2. (b) (c) (d) 3. (c) (d) (e) 4. (a) (c) (e) 5. (b) (c) (e)


問4.鉄欠乏性貧血に関する記載のうち正しいのはどれか。

(1)    食事療法によって改善させることは困難である。
(2)    原因の究明がもっとも重要である。
(3)    骨髄穿刺によって診断を確定する。
(4)    匙状爪は頻度の高い異常所見である。
(5)    治療が奏効すれば網赤血球数が最初に上昇する。

a (1), (2), (3) b (1), (2), (5) c (1), (4), (5)  d (2), (3), (4) e (3), (4), (5)


問5.    急性白血病に関する記述で正しいのはどれか。

(1)    成人では骨髄性よりリンパ性の方が多い。
(2)    FLT3遺伝子変異を伴うと予後良好である。
(3)    一部の病型はDown症候群に合併しやすいことが知られている。
(4)    Core binding factor白血病に対して大量シタラビン療法が有効である。
(5)    WHO分類で急性骨髄性白血病と診断する時の骨髄芽球比率は30%以上である。

a. (1)(2)  b. (2)(3)  c. (3)(4)  d. (4)(5)  e. (1)(5)


問6.    ミエロペルオキシダーゼ (MPO) 染色、特異的エステラーゼ染色、非特異的エステラーゼ染色いずれもが陽性であった場合に考えられる疾患はどれか。1つ選べ。

(1)    赤白血病
(2)    急性単球性白血病
(3)    急性骨髄単球性白血病
(4)    急性巨核芽球性白血病
(5)    最未分化型急性骨髄性白血病



問7.    フローサイトメトリーによる表面マーカー解析が診断に有用でない疾患はどれか。1つ選べ。

(1)    多発性骨髄腫
(2)    急性骨髄性白血病
(3)    非ホジキンリンパ腫
(4)    急性リンパ性白血病
(5)    慢性骨髄性白血病(慢性期)



問8.    疾患名とその疾患に特徴的な染色体異常、遺伝子異常の組み合わせで誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)    慢性骨髄性白血病 − t(9;22)
(2)    急性前骨髄球性白血病 − t(15;17)
(3)    本態性血小板血症 − JAK2遺伝子のV617変異
(4)    好酸球増多を伴う急性骨髄単球性白血病 − inv(16)
(5)    真性赤血球増加症(真性多血症) − CALR遺伝子変異



問9.    疾患名と検査所見の組み合わせで誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)    骨髄線維症 — 涙滴赤血球
(2)    慢性骨髄性白血病 — 白血病裂孔
(3)    急性前骨髄球性白血病 — Auer小体
(4)    急性単球性白血病 — 尿中リゾチーム高値
(5)    真性赤血球増加症 — エリスロポエチン低値



問10.    疾患名と治療薬の組み合わせで誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)    骨髄線維症 — ルキソリチニブ
(2)    急性骨髄性白血病 — シタラビン
(3)    慢性骨髄性白血病 — イマチニブ
(4)    急性リンパ性白血病 — アザシチジン
(5)    急性前骨髄球性白血病 — 全トランス型レチノイン酸



問11.    疾患名と臨床症状の組み合わせで誤っているのはどれか。

(1)    原発性骨髄線維症 − 巨脾
(2)    真性赤血球増加症 − 感染症
(3)    慢性骨髄性白血病 − 歯肉腫脹
(4)    急性前骨髄球性白血病 (M3)  − 出血傾向
(5)    本態性血小板血症 − 無症状のことが多い(健診等で偶然指摘)

a. (1)(2)  b. (2)(3)  c. (3)(4)  d. (4)(5)  e. (1)(5)



問12.    リンパ腫に関する記載の中で正しいのはどれか。

(1)    ホジキンリンパ腫とは異なり、非ホジキンリンパ腫では通常治癒は望めない。
(2)    日本ではホジキンリンパ腫は少なく、T細胞性の非ホジキンリンパ腫が多い。
(3)    ホジキンリンパ腫では発熱や炎症反応を伴うことが多い.
(4)    濾胞性リンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に比べて治しにくい。
(5)    腸管や肺に起こるMALTリンパ腫は治療抵抗性である。

a (1), (2), (3) b (1), (2), (5) c (1), (4), (5)  d (2), (3), (4) e (3), (4), (5)



問13.    リンパ腫の病態に関する記載のうち正しいのはどれか。

(1) 濾胞性リンパ腫で骨髄浸潤を認めることはまれである。
(2) NK細胞リンパ腫は鼻腔原発が多い。
(3) 胃に発生するMALTリンパ腫の多くはヘリコバクター・ピロリに関連している。
(4) Burkittリンパ腫はEBウイルスに関連して発症することがある。
(5) t(14:18)(q32;q21)はマントル細胞リンパ腫によくみられる転座である。

a (1), (2), (3) b (1), (2), (5) c (1), (4), (5)  d (2), (3), (4) e (3), (4), (5)



問14.    多発性骨髄腫に関する記載の中で正しいのはどれか。

(1)    自己造血幹細胞移植によって治癒が得られる。
(2)    プロテオソーム阻害剤が奏効する。
(3)    ビスフォスフォネート製剤が用いられる。
(4)    正常免疫グロブリンは減少する。
(5)    白血病化を来しやすい。

a (1), (2), (3) b (1), (2), (5) c (1), (4), (5)  d (2), (3), (4) e (3), (4), (5)



問15.    非ホジキンリンパ腫のInternational Prognostic Indexに含まれるのはどれか。

(1)    B症状の有無
(2)    臨床病期
(3)    リンパ節以外の病変の数
(4)    LDH
(5)    Bulky massの有無

a (1), (2), (3) b (1), (2), (5) c (1), (4), (5)  d (2), (3), (4) e (3), (4), (5)



問16.    リンパ腫に関する記載のうち正しいものはどれか。

(1)    Extranodal NK/T-cell lymphomaはアジアに多く、EBVと関連する。
(2)    Adult T-cell leukemia/lymphomaでは高Ca血症を伴うことが特徴的である。
(3)    Adult T-cell leukemia/lymphomaはHTLV-1感染者の約50%に発症する。
(4)    Anaplastic large cell lymphomaの多くはB細胞性である。
(5)    Peripheral T-cell lymphoma, unspecifiedは骨髄浸潤を来しやすい。
a (1), (2), (3) b (1), (2), (5) c (1), (4), (5)  d (2), (3), (4) e (3), (4), (5)



問17.    多発性骨髄腫の検査に関する記載で正しいものはどれか。

(1)    G-バンド法が染色体異常の検出に有用である。
(2)    M蛋白の同定法として最も感度が高いのは免疫電気泳動法である。
(3)    IgG型が最も多い。
(4)    血沈は亢進することが多い。
(5)    尿中のM蛋白定量が治療効果の判定に有用である。

a (1), (2), (3) b (1), (2), (5) c (1), (4), (5)  d (2), (3), (4) e (3), (4), (5)



問18.    びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に関する記載のうち正しいものはどれか。

(1)    非ホジキンリンパ腫全体の約4割を占める。
(2)    リツキシマブを併用したCHOP療法により予後が有意に改善された。
(3)    中枢神経原発に対しては高用量メトトレキサート療法が行われる。
(4)    胚中心細胞(GCB)タイプの予後は非胚中心細胞(non-GCB)タイプに比べて不良である。
(5)    早期の胃原発リンパ腫に対しては手術療法が適用される。

a (1), (2), (3) b (1), (2), (5) c (1), (4), (5)  d (2), (3), (4) e  (2), (3), (4)



問19.    下記の疾患または病態のうち、検査所見の記載が誤っているのはどれか。1つ選べ。


    出血時間 PT APTT Fbg TT
a 単純性紫斑 正常 正常 正常 正常 正常
b 先天性第VII因子欠乏症 正常 延長 正常 正常 低下
c 第XIII因子インヒビター 正常 正常 正常 正常 正常
d ワルファリン内服 正常 延長 延長 正常 低下
e 第V因子インヒビター 正常 延長 延長 正常 低下


PT:プロトロンビン時間
APTT:活性化部分トロンボプラスチン時間
Fbg:フィブリノゲン
TT:トロンボテスト(%)


問20.    出血と血栓の両病態がみられる疾患として誤っているのはどれか。1つ選べ。

a.    電撃性紫斑病
b.    Bernard-Soulier症候群
c.    異常フィブリノゲン血症
d.    溶血性尿毒症症候群(HUS)
e.    Upshaw-Schulman症候群(USS)



問21.    典型的な抗リン脂質抗体症候群(APS)に関する記載内容として、誤っているのはどれか。1つ選べ。

a.    動脈血栓症では脳梗塞が最も多い。
b.    静脈血栓症では深部静脈血栓症が最も多い。
c.    不育症患者で抗カルジオリピン抗体が陽性であればAPSである。
d.    習慣性流産の女性に対してはワルファリン内服が有効である。
e.    希釈ラッセル蛇毒時間の延長が、高濃度リン脂質の添加で是正される。



問22.    播種性血管内凝固症候群(DIC)について誤っているのはどれか。1つ選べ。

a.    常位胎盤早期剥離では、FDPが著増する。
b.    腹膜炎では、α2プラスミンインヒビター(α2PI)が著増する。
c.    急性前骨髄球性白血病(APL)では、フィブリノゲンが著減する。
d.    羊水塞栓では、トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)が著増する。
e.    前立腺癌では、プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が著増する。



問23.    血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)および溶血性尿毒症症候群(HUS)の両者に共通した所見の記載として誤っているのはどれか。1つ選べ。

a.    血小板数減少
b.    血清LDH(LD)上昇
c.    抗ADAMTS13抗体陽性
d.    血清ハプトグロビンの低下
e.    血清間接ビリルビンの上昇



問24.    血栓止血関連疾患の検査、治療に関する記載として正しいのはどれか。1つ選べ。

a.    健常人のPT-INRは 1.2前後である。
b.    経口避妊薬により血中アンチトロンビン活性が低下する。
c.    von Willebrand病の出血(軽症)に対してはデスモプレシン(DDAVP)が有効である。
d.    網膜中心動脈閉塞症の再発予防として直接経口抗凝固薬(DOAC)内服が有効である。
e.    オスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症、遺伝性出血性毛細血管拡張症とも言う)の出血に対しては血漿由来第XIII因子製剤が有効である。


問25.    5歳、女性。
1歳頃より皮下出血や鼻出血を高頻度に認めていた。3歳時の予防接種後に接種部位の出血がなかなか止まらず凝固学的精査を行ったところ、APTT 72.1秒(25.0-37.0)、PT11.5秒(10.0-11.8)であった。フィブリノゲン、FDP、第XIII因子活性はいずれも正常であった。妹にも同じ疾患が存在した。

出血時の対処法として正しいのはどれか。1つ選べ。
a.    濃厚血小板
b.    新鮮凍結血漿
c.    ビタミンK製剤
d.    血漿由来第VIII因子製剤
e.    遺伝子組換え第IX因子製剤



問26.    22歳、女性。
妊娠12週ごろ、左下肢腫張と疼痛を認めたため外来を受診した。血液検査:アンチトロンビン(AT)活性 43%、プロテインC(PC)活性 94%、プロテインS(PS)活性 96%、フィブリノゲン426mg/dL(基準:200〜400 mg/dl)、D-ダイマー 2.0μg/ml(基準:1.0μg/ml未満)、下肢静脈エコー検査にて左後脛骨静脈に血栓がみられたため深部静脈血栓症(DVT)と診断された。未分画ヘパリンの投与により血栓は縮小した。適切な治療により、合併症なく無事挙児を得ることができた。産褥期も血栓症の増悪は認めず、ヘパリン治療をワルファリン内服に切り替えて抗凝固療法を継続した。
家族歴は父が腸間膜静脈血栓症、叔父(父方)が門脈血栓、祖母(父方)が脳静脈洞血栓症を発症しており、家系員に多くの血栓症を認めている。

上記の血液検査成績の中には誤記がある。1つ選べ。

a.    アンチトロンビン(AT)活性
b.    プロテインC(PC)活性
c.    プロテインS(PS)活性
d.    フィブリノゲン
e.    D-ダイマー


問27.    55才の男性。通勤途中で自動車にはねられ高度救命救急センターに搬送された。意識は混濁。身長172cm、体重 80kg、脈拍 124/分、整、血圧 74/58mmHg、骨盤骨折と診断し緊急手術となった。術後、集中治療室に収容された。入室時、脈拍82/分、整、血圧 116/78mmHg、中心静脈圧は5mmHgであったが、Hb値は6.0g/dlであった。Hb 10g/dlを目標に赤血球輸血をすることとした。何単位の投与が必要か。1つ選べ。
ただし、赤血球濃厚液1単位は献血200ml由来(Hb 14g/dl)とする。

a.    2単位
b.    4単位
c.    6単位
d.    8単位
e.    10単位



問28.    ABO major不適合輸血について正しいものはどれか。1つ選べ。

a.    死亡率は50%である。
b.    即時型血管外溶血が起こる。
c.    溶血の原因に補体系の活性化が関与している。
d.    原因として最も多いのは交差試験の判定ミスである。
e.    AB型患者にO型赤血球製剤を輸血した時の死亡率が最も高い。



問29.    血液製剤の取り扱いについて正しいのはどれか。1つ選べ。

a.    赤血球濃厚液は20〜24℃の室温で保存する。
b.    新鮮凍結血漿は使用する3時間前に融解する。
c.    濃厚血小板は2〜6℃の冷蔵庫で振盪保存する。
d.    血小板輸血に際して交差適合試験は不要である。
e.    血小板濃厚液の有効期間は採血後2日間(採血初日を1日目とする)である。



問30.    同種造血幹細胞移植後の急性GVHDの重症度を評価する際に必要な検査値どれか。1つ選べ。


a.    Alb
b.    Cr
c.    CRP
d.    LDH
e.    T. Bil



問31.    患者から輸血に関するインフォームド・コンセントを得る際に、説明事項として正しいのはどれか。1つ選べ。

a.    栄養状態が悪いので高張アルブミン製剤を投与する。
b.    ABO型およびRhD型の血液型が一致した赤血球濃厚液を輸血すれば溶血の副作用は生じない。
c.    赤血球濃厚液輸血後の副作用・合併症は生物由来製品感染等被害救済制度の対象になることがある。
d.    特発性血小板減少性紫斑病患者では、血小板数が2万/μL未満になったら予防的に血小板輸血を行う。
e.    血液センターの血液製剤は、全てに対してNAT検査が行われようになってからHIV感染症のリスクはなくなった。



問32.    輸血後副作用とその対策の組み合わせで正しいのはどれか。2つ選べ。


a.    TRALI — 血液製剤への放射線照射
b.    HLA抗体産生 — 血液製剤からの白血球除去
c.    輸血後GVHD — 免疫抑制剤の予防投与
d.    輸血後鉄過剰症 — 鉄キレート療法
e.    パルボウイルス感染症 — NAT検査



問33.    アルブミン製剤に関して正しいのはどれか。2つ選べ。


a.    大量の腹水穿刺時には等張アルブミン製剤を使用する。
b.    肝硬変に伴う浮腫の治療には高張アルブミン製剤を使用する。
c.    投与したアルブミン製剤の血管内回収率はおおよそ40%である。
d.    25%高張アルブミン製剤は5%等張アルブミン製剤に比べてアルブミン含有量が多い。
e.    高張アルブミン製剤は二重ろ過血漿交換療法(DFPP)の補充液として使用される。





正答



2020年7月に、第21回日本検査血液学会学術集会が金沢で開催されます。
学生の皆さんは学生証持参で、無料で参加できます。

第21回 日本検査血液学会学術集会(金沢2020年)

The 21th Annual Meeting of the Japanese Society for Laboratory Hematology
リンク:http://www.c-linkage.co.jp/jslh2020/
 


<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2018年7月9日

金沢大学血液内科学系統講義試験:血栓止血関連検査

平成30年度血液内科学系統講義試験の問題紹介と正答です。
(平成30年7月9日 月曜日)


問22.    下記の疾患または病態のうち、検査所見の記載が誤っているものはどれか。1つ選べ。

    出血時間 PT APTT Fbg TT
(1)  老人性紫斑 正常 正常 正常 正常 正常
(2) 血小板無力症 延長 正常 正常 正常 正常
(3) アスピリン内服 延長 正常 正常 正常 正常
(4)  第V因子インヒビター 正常 延長 延長 正常 低下
(5)  先天性第XII因子欠損症 正常 正常 延長 正常 正常


PT:プロトロンビン時間
APTT:活性化部分トロンボプラスチン時間
Fbg:フィブリノゲン
TT:トロンボテスト




(解説)

(1)    老人性紫斑では、全ての血液凝固検査が正常である。
(2)    血小板無力症 では血小板機能が低下しているため、出血時間は延長する。
(3)    アスピリン内服 では、血小板機能が低下するため、出血時間は延長する。
(4)    第V因子インヒビター では、PT、APTTともに延長する。TT(トロンボテスト)はヘパプラスチンテスト(HPT)と同様に、VII、X、IIの3つの凝固因子を反映している。第V因子インヒビター では、TTは正常である。PTとTT(またはHPT)の乖離現象は診断に有用である。
(5)    先天性第XII因子欠損症では、APTTは延長するが、PTは正常である。



(正答)(4)   

 



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金沢大学血液内科学系統講義試験:ヘパリンと血小板数低下

平成30年度血液内科学系統講義試験の問題紹介と正答です。
(平成30年7月9日 月曜日)


問29.    82歳の女性。

【主訴】全身倦怠感、嘔気。

【現病歴】

60歳代に腎機能低下を指摘され、70歳代より高血圧の治療を受けている。
尿毒症に起因すると思われる全身倦怠感、食欲低下、嘔気を認め、入院となった。

【入院時検査所見】
BUN 90 mg/dL、クレアチニン 6.97 mg/dLより透析の必要な腎不全と診断。
カテーテルを留置して透析を週に3回行った。
なお、カテーテル留置後は毎日ヘパリンロック(ヘパリンを使用してカテーテルが血栓で閉塞しないようにする手技)を実施した。
10日後、血小板数減少が顕著となった(19.8万/μlから6.8万/μl)ため、ヘパリン使用を中止した。


本症例における血小板数減少の精査に最も有用な検査はどれか。1つ選べ。


(1)    骨髄穿刺
(2)    HIT抗体
(3)    クームス試験
(4)    血中トロンボポエチン
(5)    PAIgG(血小板結合性IgG)

 

(解説)
本症例は、ヘパリン起因性血小板減少症(略称:HIT)の症例である。
HIT抗体は重要な検査であるため、しっかりインプットして置きたい。

(1)    骨髄穿刺:行う必要はない。
(2)    HIT抗体:極めて重要な検査である。ヘパリン起因性血小板減少症を疑ったら、まず行う検査である。
(3)    クームス試験:溶血の鑑別診断に行う検査である。
(4)    血中トロンボポエチン:ITP、再生不良性貧血などの鑑別に有用な場合がある。
(5)    PAIgG(血小板結合性IgG):ITP診断の参考になる場合がある。


(正答)
(2) 



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金沢大学血液内科学系統講義試験:大動脈瘤のDIC

平成30年度血液内科学系統講義試験の問題紹介と正答です。
(平成30年7月9日 月曜日)


問28.    72歳の男性。

【主訴】労作時息切れ

【現病歴】
63歳時に胸腹部大動脈瘤を指摘され、71歳時に人工血管置換術が施行された。
経過観察されていたが今回特に誘因なく左大腿部の疼痛に加え、翌日にはふらつき、息切れを自覚したため医療機関を受診。
貧血の進行と左大腿部の皮下血腫を認め、精査加療目的に入院となった。

【入院時血液検査所見】
Hb 7.0 g/dL、血小板数 9.1万/μL
PT 13.1秒、APTT 29.0秒、フィブリノゲン 68 mg/dL、FDP 172.7 mg/mL(基準<5.0)、D-ダイマー 79.9 μg/mL(基準<1.0)
アンチトロンビン(AT)114%、プラスミノゲン 79%、α2PI 97%
TAT 82.5 ng/mL(基準<4.0)、PIC 18.4 μg/mL(基準<0.8)
Cr 2.6 mg/dL

【経過】
入院後出血に伴う貧血の進行をみとめたため、赤血球輸血をおこなった。
同時にメシル酸ナファモスタット持続点滴を開始したところ出血症状の改善がみられたが、同薬の副作用と考えられる高K血症をみとめたため、同薬を中止して他薬に変更した。


入院時血液検査所見に誤った記載が1箇所ある。1つ選べ。

(1)    α2PI
(2)    APTT
(3)    D-ダイマー
(4)    フィブリノゲン
(5)    アンチトロンビン




(解説)

本症例は、大動脈瘤に起因した線溶亢進型DICである。

1)典型的な線溶亢進型DICでは、α2PIは著減するのが特徴である。
2)線溶亢進型DICでは、APTTが延長しないことが多い。むしろ短縮することもある。本年の医師国家試験では、急性前骨髄球性白血病(APL)に起因したDIC症例が出題されているが、APTTは正常になっている。
3)線溶亢進型DICでは、FDPもD-ダイマーも上昇するが、特にFDPは著増するために、FDPとD-ダイマーの間に乖離現象が見られる。上記の、本年の医師国家試験の症例でも、FDPとD-ダイマーの間に大きな乖離現象が見られている。
4)線溶亢進型DICでは、フィブリノゲンは著減する。
5)線溶亢進型DICでは、肝不全の合併がなければ、アンチトロンビンは低下しない。APLではむしろ上昇することもある。




(正答)
 (1)   

 

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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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金沢大学血液内科学系統講義試験:血戦止血領域

平成30年度血液内科学系統講義試験の問題紹介と正答です。
(平成30年7月9日 月曜日)

赤字が正答です。


問23.    出血と血栓の両病態がみられる疾患・病態として誤っているものはどれか。1つ選べ。


(1)    HELLP症候群
(2)    本態性血小板血症
(3)    Bernard-Soulier症候群
(4)    ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)
(5)    ワルファリン起因性皮膚壊死(warfarin induced skin necrosis)



問24.    典型的な抗リン脂質抗体症候群(APS)に関する記載内容として、誤っているものはどれか。1つ選べ。

(1)    動脈血栓症では脳梗塞が最も多い。
(2)    静脈血栓症では深部静脈血栓症が最も多い。
(3)    APTTの延長が、正常血漿の添加で是正される。
(4)    不育症患者でループスアンチコアグラントが陽性であればAPSである。
(5)    習慣性流産の女性に対しては、アスピリン内服とヘパリン皮下注の併用が有効である。



問25.    播種性血管内凝固症候群(DIC)について誤っているものはどれか。1つ選べ。

(1)    敗血症では、FDPが著増する。
(2)    常位胎盤早期剥離では、フィブリノゲンが著減する。
(3)    羊水塞栓では、可溶性フィブリンモノマーが著増する。
(4)    腹膜炎では、プラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI)が著増する。
(5)    急性前骨髄球性白血病では、プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が著増する。



問26.    血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)および溶血性尿毒症症候群(HUS)の両者に共通した所見の記載として誤っているものはどれか。1つ選べ。


(1)    赤血球破砕像
(2)    血清LDH上昇
(3)    血清間接ビリルビンの上昇
(4)    血清ハプトグロビンの低下
(5)    血清ADAMTS13活性の低下



問27.    血栓止血関連疾患の検査・治療に関する記載として正しいものはどれか。1つ選べ。


(1)    健常人は、PT-INR 1.5前後である。
(2)    妊娠により血中プロテインC活性が低下する。
(3)    von Willebrand病の出血に対しては、遺伝子組換え第VIII因子製剤が有効である。
(4)    心房細動に起因する脳塞栓の発症予防としては、直接経口抗凝固薬(DOAC、新規経口抗凝固薬 NOACとも言う)内服が有効である。
(5)    オスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症、遺伝性出血性末梢血管拡張症とも言う)の出血に対しては、血漿由来第VIII因子製剤が有効である。

 

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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:57 | 医師国家試験・専門医試験対策

金沢大学血液内科学系統講義試験:輸血関連

平成30年度血液内科学系統講義試験の問題紹介と正答です。
(平成30年7月9日 月曜日)

赤字が正答です。


問30.    血小板製剤について誤っているものはどれか。1つ選べ。


(1)    主に成分献血から製造される。
(2)    室温(20〜24℃)で振とう保存する。
(3)    輸血に際して交差適合試験は不要である。
(4)    成人では2単位製剤の輸血が一般的である。
(5)    採血日を1日目として採血後4日間使用できる。
   


問31.    不規則抗体について正しいものはどれか。1つ選べ。

(1)    主にIgMである。
(2)    陽性率は10-20%である。
(3)    急性溶血を来たしやすい。
(4)    輸血歴のない妊婦でも保有していることがある。
(5)    種々の抗原を持つAB型赤血球を患者血清が凝集させるかどうかで判定する。



問32.    輸血後GVHDの予防対策として有効なものはどれか。


(1)    自己血輸血
(2)    免疫抑制剤投与
(3)    血縁者からの輸血
(4)    白血球除去フィルター
(5)    血液製剤への放射線照射

a. (1)(2)  b. (2)(3)  c. (3)(4)  d. (4)(5)  e. (1)(5)



問33.    ABO不適合輸血に伴う急性溶血について正しいものはどれか。


(1)    死亡率は約80%である。
(2)    即時型血管内溶血が起こる。
(3)    溶血の原因に補体系の活性化が関与している。
(4)    原因として最も多いのは血液型判定のミスである。
(5)    AB型患者にO型赤血球製剤を輸血した時に生じることが多い。

a. (1)(2)  b. (2)(3)  c. (3)(4)  d. (4)(5)  e. (1)(5)



問34.    手術時の輸血について誤っているものはどれか。1つ選べ。

(1)    出血量が循環血液量の20%以内であれば、通常、赤血球輸血を必要としない。
(2)    予測出血量が少なく輸血の可能性が低い待機手術では、一般にtype & screen法が採用されている。
(3)    SBOE(surgical blood order equation)はMSBOS(maximum surgical blood order schedule)より準備血液量が少なくて済むメリットがある。
(4)    MSBOSとは、平均出血量の1.5倍以下の血液製剤をあらかじめ交差適合試験を行った上で準備しておく方式をいう。
(5)    冠動脈疾患・肺機能障害・脳循環障害を有する患者の手術時は、Hb値を12 g/dL以上に保つように赤血球輸血を行う。



問35.    HLA適合同胞ドナーからの同種骨髄移植よりも、自家末梢血幹細胞移植を行うことが多い疾患はどれか。


(1)    多発性骨髄腫
(2)    急性骨髄性白血病
(3)    骨髄異形成症候群
(4)    急性リンパ性白血病
(5)    ホジキンリンパ腫の再発

a. (1)(2)  b. (2)(3)  c. (3)(4)  d. (4)(5)  e. (1)(5)



問36.    急性GVHDの重症度を判定する際に評価の対象となる症状はどれか。

(1)    発熱
(2)    黄疸
(3)    下痢
(4)    皮疹
(5)    意識障害

a. (1)(2)(3) b. (1)(2)(5) c. (1)(4)(5) d. (2)(3)(4) e. (3)(4)(5)

 

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金沢大学血液内科学系統講義試験:骨髄腫、白血病など

平成30年度血液内科学系統講義試験の問題紹介と正答です。
(平成30年7月9日 月曜日)

赤字が正答です。


問12.    52歳女性。

頚部リンパ節の生検で、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断された。
FDG-PET/CTでは両側頚部・左腋窩・腸間膜にそれぞれ3センチ大のFDG異常集積を伴うリンパ節が認められたが、リンパ節以外にFDG異常集積病変は無かった。
入院前日まで仕事と家事を普通にこなしていた。
体重減少や寝汗は認めていない。
骨髄生検では骨髄浸潤の所見はみられなかった。
LDHは420 IU/l(基準176〜353)、可溶性IL-2レセプター 2500 IU/ml(基準127〜582)であった。

この患者のアグレッシブリンパ腫の国際予後指標(International Prognostic Index: IPI)(1項目1点)を求めよ。

国際予後指数( 2 )点



問13.    骨髄腫について誤っているものはどれか。


(1)    t(14;16)の染色体異常を有する例は予後良好である。
(2)    G-Bandingによる染色体検査では染色体異常の検出率が高い。
(3)    骨病変対策として用いるビスフォスフォネート製剤の重大な副作用は顎骨壊死である。
(4)    重篤な合併症がなく心肺機能が正常な65歳以下の症例は、自家末梢血幹細胞移植の適応である。
(5)    血清アルブミン値と血清2ミクログロブリン値を組み合わせることによって予後予測が可能である。

a. (1)(2)  b. (2)(3)  c. (3)(4)  d. (4)(5)  e. (1)(5)



問14.    多発性骨髄種の診断において骨髄腫診断事象(MDE: myeloma-defining event)の臓器障害に含まれるのはどれか。

(1)    貧血
(2)    腎不全
(3)    骨病変
(4)    心不全
(5)    アミロイドーシス

a. (1)(2)(3) b. (1)(2)(5) c. (1)(4)(5) d. (2)(3)(4) e. (3)(4)(5)



問15.    ミエロペルオキシダーゼ(MPO)染色陽性、特異的エステラーゼ染色陰性、非特異的エステラーゼ染色が陽性であった場合に考えられる疾患はどれか。1つ選べ。

(1)    赤白血病
(2)    急性単球性白血病
(3)    急性骨髄単球性白血病
(4)    急性巨核芽球性白血病
(5)    最未分化型急性骨髄性白血病



問16.    フローサイトメトリーによる表面マーカー解析が診断に有用でない疾患はどれか。1つ選べ。

(1)    多発性骨髄腫
(2)    骨髄異形成症候群
(3)    急性リンパ性白血病
(4)    慢性リンパ性白血病
(5)    慢性骨髄性白血病(慢性期)



問17.    急性白血病に関する記述で正しいものはどれか。


(1)    成人では骨髄性よりリンパ性の方が多い。
(2)    FLT3遺伝子変異を伴うと予後良好である。
(3)    一部の病型はDown症候群に合併しやすいことが知られている。
(4)    Core binding factor白血病に対し大量シタラビン(Ara-C)療法が有効である。
(5)    WHO分類で急性骨髄性白血病と診断する際の芽球の割合は30%以上である。

a. (1)(2)  b. (2)(3)  c. (3)(4)  d. (4)(5)  e. (1)(5)



問18.    疾患名とその疾患に特徴的な染色体異常、遺伝子異常の結びつきで誤っているものはどれか。1つ選べ。

(1)    慢性骨髄性白血病 − t(9;22)
(2)    急性前骨髄球性白血病 − t(15;17)
(3)    本態性血小板血症 − JAK2遺伝子のV617変異
(4)    好酸球増多を伴う急性骨髄単球性白血病 − inv(16)
(5)    真性多血症/真性赤血球増加症 − CALR遺伝子変異



問19.    疾患名と検査所見の結びつきで誤っているものはどれか。1つ選べ。


(1)    骨髄線維症 — 涙滴赤血球
(2)    急性前骨髄球性白血病 — Auer小体
(3)    急性単球性白血病 — 尿中リゾチーム高値
(4)    慢性骨髄性白血病 — 末梢血中の幼若顆粒球
(5)    真性多血症/真性赤血球増加症 — エリスロポエチン高値



問20.    疾患名と症状・身体所見の結びつきで誤っているものはどれか。1つ選べ。


(1)    原発性骨髄線維症 − 巨脾
(2)    慢性骨髄性白血病 − 歯肉腫脹
(3)    急性前骨髄球性白血病  − 出血傾向
(4)    真性多血症/真性赤血球増加症 − 血栓症
(5)    本態性血小板血症 − 無症状のことが多い(健診等で偶然指摘)



問21.    慢性骨髄性白血病の治療に通常用いない薬剤はどれか。

(1)    イマチニブ
(2)    ニロチニブ
(3)    ダサチニブ
(4)    アナグレリド
(5)    ルキソリチニブ

a. (1)(2)  b. (2)(3)  c. (3)(4)  d. (4)(5)  e. (1)(5)

 

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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
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血液内科学系統講義試験:貧血、リンパ腫など

平成30年度血液内科学系統講義試験の問題紹介と正答です。
(平成30年7月9日 月曜日)

赤字が正答です。


問4.    鉄欠乏性貧血の診療に関する記載のうち正しいものはどれか。


(1)    時に血小板が増加する。
(2)    回腸切除例では鉄欠乏が起こりやすい。
(3)    経口鉄剤は胃切除例に対しては無効である。
(4)    血清中の鉄は全てトランスフェリンに結合している。
(5)    鉄欠乏の原因を検索することがもっとも重要である。

a. (1) (2) (3) b. (1) (2) (5) c. (1) (4) (5) d. (2) (3) (4) e. (3) (4) (5)



問5.    治療法で正しい結びつきはどれか。

(1)    輸血後鉄過剰症 − 瀉血
(2)    βサラセミアマイナー − 脾摘
(3)    骨髄異形成症候群 − イマチニブ
(4)    メトヘモグロビン血症 − 高気圧酸素療法
(5)    自己免疫性溶血性貧血 − 副腎皮質ステロイド

a. (1) (2) (3) b. (1) (2) (5) c. (1) (4) (5) d. (2) (3) (4) e. (3) (4) (5)



問6.    骨髄異形成症候群に関する記載のうち正しいものはどれか。


(1)    被爆者で頻度が高い。
(2)    第7染色体異常陽性例の予後は特に悪い。
(3)    何らかの遺伝子異常はほとんどの例に検出される。
(4)    5q-症候群に対し、アザシチジン療法が有効である。
(5)    骨髄細胞における形態異常の強さは予後因子の一つである。

a. (1) (2) (3)
 b. (1) (2) (5) c. (1) (4) (5) d. (2) (3) (4) e. (3) (4) (5)



問7.    ヒト造血に関する記載で正しいものはどれか。

(1)    成人では主に長管骨で造血が行われている。
(2)    造血幹細胞の多くは細胞周期の静止期にある。
(3)    胎生2か月目の造血は肝や脾臓で起こっている。
(4)    臍帯血中には骨髄以上に高濃度の造血幹細胞が存在する。
(5)    同種骨髄移植後に好中球が増え始めるのは移植後21日目以降である。

a. (1) (2) (3) b. (1) (2) (5) c. (1) (4) (5) d. (2) (3) (4) e. (3) (4) (5)



問8.    IgG型M蛋白が検出されない疾患はどれか。

(1)    POEMS症候群
(2)    無症候性骨髄腫
(3)    非分泌型骨髄腫
(4)    原発性マクログロブリン血症
(5)    monoclonal gammopathy of undetermined significance(MGUS)

a. (1)(2)  b. (2)(3)  c. (3)(4)  d. (4)(5)  e. (1)(5)



問9.    ホジキンリンパ腫に関する記載の中で正しいものはどれか。


(1)    標準的治療はABVD療法である。
(2)    発熱や炎症反応を伴うことが多い。
(3)    若年者では混合型(mixed cellularity; MC)が多い。
(4)    難治例に対しCD20を標的としたリツキシマブが有効である。
(5)    腫瘍細胞の周辺に存在しているのは主に制御性T細胞である。

a. (1)(2)(3) b. (1)(2)(5) c. (1)(4)(5) d. (2)(3)(4) e. (3)(4)(5)



問10.    治療法で正しい結びつきはどれか。


(1)    未分化大細胞型リンパ腫 — R-CHOP療法
(2)    MALTリンパ腫 — ヘリコバクター・ピロリの除菌
(3)    濾胞性リンパ腫 — 90Y標識イブリツモマブ(抗CD20抗体)
(4)    成人T細胞性白血病/リンパ腫 — モガムリズマブ(抗CCR4抗体)
(5)    節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型 — ブレンツキシマブ(抗CD30抗体)

a. (1)(2)(3) b. (1)(2)(5) c. (1)(4)(5) d. (2)(3)(4) e. (3)(4)(5)



問11.    次の文章の中で正しいものはどれか。

(1)    マントル細胞リンパ腫は予後良好である。
(2)    ホジキンリンパ腫においてEBウイルスの関与は稀である。
(3)    血管内大細胞型B細胞リンパ腫は不明熱の重要な鑑別疾患である。
(4)    ALK陽性未分化大細胞型リンパ腫の予後はALK陰性のものよりも良好である。
(5)    B細胞性リンパ腫の中でもっとも多いのはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。

a. (1)(2)(3) b. (1)(2)(5) c. (1)(4)(5) d. (2)(3)(4) e. (3)(4)(5)

 

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
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平成30年度血液内科学系統講義試験(金沢大学)

平成30年度血液内科学系統講義試験の問題紹介と正答です。
(平成30年7月9日 月曜日)

 
問1.    スライドの細胞は何か?細胞名を記入せよ。(スライド省略)

1)  (単球)
2)  (好酸球)
3)  (リンパ球)
4)   (巨核球)
5)   (赤芽球)


問2.    次の文の括弧の中に適切な言葉を記入せよ。

1) 骨髄生検は()骨で行う。
2)血漿から(フィブリン)を除いたものが血清である。
3)EDTA採血は血液細胞の(形態)観察に適している。
4)血清フェリチンは( 肝 )炎や膵炎などで増加する。
5)骨髄の赤芽球で最も幼若なものは(前赤芽球)である。
6)末梢血における網赤血球の寿命は約( 2 )日である。
7)骨髄塗沫標本の鉄染色で観察するのは(赤芽球)である。
8)造血幹細胞は自己(複製)能と分化能を併せ持っている。
9) (トロンボポエチン(略称「TPO」))レセプター作動薬は、造血幹細胞を増殖させる効果がある。
10)(アズール(英語:Azur))顆粒の多いリンパ球は細胞傷害性Tリンパ球やNK細胞である。
11)慢性骨髄性白血病では末梢血の(好塩基球)の増加や幼若顆粒球の出現が特徴的である。
12)出血傾向のうち、ecchymosisが起こるのは通常(凝固因子)が欠乏しているときである。
13)リンパ系腫瘍における腫瘍マーカーには、LDH、β2ミクログロブリン、(可溶性インターロイキン2レセプター(略称「sIL-2R」、英和混ざりok))などがある。
14)フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の予後は(チロシン)キナーゼの開発によって著明に改善された。
15)胸腺に存在する未成熟なT細胞由来のリンパ腫とは対照的に、成熟したT細胞由来の腫瘍は(末梢性)T細胞リンパ腫と呼ばれる。



問3.    60歳の女性。

高血圧のため循環器内科通院中に軽度の貧血を指摘されていたが、二次検査は勧められなかった。2018年3月の定期受診時に貧血に加えて血小板減少もみられたため、血液内科に紹介された。
血液検査では白血球数5380/μl、 赤血球数320万/μl、ヘモグロビン13.1 g/dL、ヘマトクリット40.0%、血小板数9.2万/μl、であった。8年前に乳がんの術後に化学療法を受け、その後再発の徴候はない。

1)MCV(四捨五入)値を冪数(10X)表示の単位をつけて記載せよ。(125 x10-15L
2)次に行うべき検査は何か? (骨髄穿刺

 

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2018年5月27日

皮下出血と薬物:医師国家試験

医師国家試験再現問題と解説です。

68歳の女性.
左下腿の腫脹を主訴に来院した.
3日前に転倒し左下腿を打撲した.徐々に腫脹が強くなり,心配になって受診した.
脂質異常症,高血圧症,糖尿病および心房細動で内服治療中である.
現在服用中の薬剤は,スタチン,カルシウム拮抗薬,アンジオテンシンII受容体拮抗薬,ビグアナイド薬およびワルファリンである.

左下腿後面の写真を別に示す(省略:左下腿の腫脹、皮下出血)。
 
この病変に関係しているのはどれか.
a スタチン
b ワルファリン
c ビグアナイド薬
d カルシウム拮抗薬
e アンジオテンシンII受容体拮抗薬



(解説)
画像から、皮下出血です。
筋肉内血腫も合併しているかも知れません。
深部静脈血栓症とは異なり、末梢までの腫脹はないです。
内服薬にワルファリンが含まれており、易出血状態にあったことがうかがわれます。


a スタチンは、高コレステロール血症に処方されます。
b ワルファリンは、心房細動、深部静脈血栓症、肺塞栓などに処方されます。
出血の副作用に注意が必要です。
c ビグアナイド薬は、糖尿病治療薬です。
d カルシウム拮抗薬は、高血圧治療薬です。
e アンジオテンシンII受容体拮抗薬は、高血圧治療薬です。


(ポイント)
ワルファリンの適正コントロールのために、PT-INRが用いられますが、適正コントロール内であっても、打撲などにより出血をきたすことがあります。

疾患や年齢によっても多少異なりますが、PT-INR 2〜3くらいでコントロールすることが多いです。

ワルファリンは、ビタミンKの拮抗薬であり、4つのビタミンK依存性凝固因子(半減期の短い順番に、VII、IX、X、II)を低下させます。

なお、プロテインC、プロテインSもビタミンK依存性蛋白です(国試既出)。



(正解)
 b


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急性前骨髄球性白血病のDIC:医師国家試験

医師国家試験再現問題と解説です。

50歳の女性.
全身の皮下出血と鼻出血とを主訴に来院した.
特に誘引なく右肩の紫斑が出現した.
その後大腿や下腿にも紫斑が出現し,今朝から鼻出血が止まらないため受診した.
5年前に乳癌に対して手術と抗癌化学療法とを受けた.

血液所見
赤血球278万,Hb 8.8g/dL,Ht 25%,白血球700,血小板5.1万,
PT-INR 1.2(基準0.9〜1.1),APTT 30.6秒(基準対照32.2),血漿フィブリノゲン74mg/dL(基準200〜400),血清FDP 110μg/mL(基準10以下),Dダイマー9.6μg/mL(基準1.0以下).

骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本(省略)を別に示す(アズール顆粒、アウエル小体、Faggotを有する異常細胞(芽球)が多数).
 

この患者に対する治療薬として適切なのはどれか.


a 抗エストロゲン薬
b 全トランス型レチノイン酸
c トラネキサム酸
d ドセタキセル
c ヘパリン


(解説)

全身性の出血症状が見られています。
特徴的な凝固異常所見と骨髄像があります。

汎血球減少症の存在から血液疾患の存在が疑われます。
骨髄像では特徴的な芽球が守られており、急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia:APL)(FAB分類:M3)と診断されます。

血小板数は5.1万と低値ですが、それだけでは著明な出血症状をきたすほどではありません。
出血症状をきたしている主因は、播種性血管内凝固症候群(DIC)(線溶亢進型DIC)の合併です。


a 抗エストロゲン薬は乳癌の治療に用いられますが、本例での乳癌の既往は今回のエピソードとは無関係です、
b 全トランス型レチノイン酸(all-trans retinoic acid:ATRA)は、APLの分化誘導治療薬として用いられ明日。
c DICに対してトラネキサム酸を単独で投与しますと、全身性の血栓症を誘発することがあります。特に、APLに対してATRAを投与している場合は、APLの線溶活性化が抑制されるために、トラネキサム酸は絶対禁忌です(死亡例の報告があります)。
d ドセタキセルは、乳癌、非小細胞肺癌、胃癌、卵巣癌などに用いられます。
e APLに合併したDICに対して昔はヘパリンが投与された時代もありましたたが、かえって出血を助長することもあり、現在は使用されることはあまりないです。APLに対する ATRA療法そのものに抗DIC効果が期待されます。


(正解) b




播種性血管内凝固症候群(DIC)

<概念>
1. 基礎疾患の存在
・三大疾患:急性白血病、固形癌、敗血症
・産科合併症:常位胎盤早期剥離,羊水塞栓
・大動脈瘤、膠原病(血管炎を伴う),外傷,熱傷 など。
2. 全身性&持続性の血管内における著明な凝固活性化状態(微小血栓の多発)
3. 二次線溶:ただし,その程度は症例により様々。
4. 消費性凝固障害(consumption coagulopathy):血小板や凝固因子の低下。
5. 出血症状,臓器症状 (DICの2大症状)


<診断のための検査所見>

1. 血小板数の低下:ただし造血器悪性腫瘍のようにDICとは無関係に血小板数が低下する場合にはDIC診断には用いません。
2. 血中FDPおよびD-ダイマーの上昇
3. 血中フィブリノゲンの低下
4. プロトロンビン時間(PT)の延長:進行例ではAPTTの延長もみられることがありますが、本症例のように延長しないことも多いです。

<病態把握のための検査所見>

1. アンチトロンビン (AT)の低下
2. プラスミノゲンの低下、α2プラスミンインヒビター(α2PI)の低下。
3. トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)の上昇
4. プラスミン-α2PI複合体(PIC) の上昇



<DICの病型分類>
凝固活性化と線溶活性化は平行して進行してますが,両者のバランスは基礎疾患により相当異なります。

線溶抑制型DIC
・敗血症など。
・線溶活性化が軽度のため,微小血栓が溶解されにくいです。
・出血症状<臓器症状
・TATは上昇しますが,PICの上昇は軽度です。
・線溶阻止因子であるPAI-1 は,著増します。

線溶亢進型DIC
・急性前骨髄球性白血病(APL)、大動脈瘤、前立腺癌など。
・線溶活性化が高度のため,微小血栓が溶解されやすい。
・出血症状>臓器症状
・TAT,PICともに上昇。
・線溶阻止因子であるPAI-1は,正常。もう一つの線溶阻止因子α2PI は著減。


(ポイント)

線溶亢進型DICでは、本症例のように、フィブリノゲン著減、FDP著増が特徴です。
D-ダイマーも上昇しますが、FDPほどの上昇はないために、FDPとD-ダイマーの間に乖離現象が見られます。


<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:14 | 医師国家試験・専門医試験対策

免疫性血小板減少性紫斑病(ITP):医師国家試験

医師国家試験再現問題と解説です。

免疫性血小板減少性紫斑病〈ITP〉について正しいものはどれか.
a 先天性疾患である.
b 骨髄の巨核球が減少する.
c 皮下出血を起こしやすい.
d 関節内出血を起こしやすい.
e 筋肉内出血を起こしやすい.


(解説)
免疫性血小板減少性紫斑病〈ITP〉は、従来は「特発性血小板減少性紫斑病」と言われてきました。
現在は、両方の用語が使用されていますが、徐々に「免疫性血小板減少性紫斑病」の呼称の方が多くなると思います。

a ITPは後天性疾患です。
b 典型例では、骨髄の巨核球は上昇します。
c 紫斑病の名前のごとく、皮下出血は見られやすいです。点状出血も特徴的です。
d 関節内出血をきたすのは、血友病です。
e 筋肉内出血は、(先天性)血友病、後天性血友病などで見られます。
なお、(先天性)血友病では関節内出血が特徴的ですが、後天性血友病では関節内出血は稀です。



(正解) c


<免疫性血小板減少性紫斑病〈ITP〉>


【概念】
ITPは、血小板に対する自己抗体が産生され、脾での血小板の破壊が亢進し、血小板寿命は短縮し出血傾向をきたします。

小児科領域では,先行感染を伴った急性型が多いのに対して(しばしば自然治癒)、内科領域では、先行感染のない慢性型が多いです(女性に多いです)。


【症状】
点状出血、粘膜出血など。

【検査&診断】
・血小板数の低下(PT&APTTは正常)。
・他血液疾患の除外(除外診断)。特に,MDSは確実に否定。
・骨髄巨核球の増加。
・血小板結合性IgG(PAIgG)の上昇。

【治療】
必ずしも早期診断・治療が当てはまりません。
1)血小板数が数万以上では無治療で経過観察。
2)ピロリ菌の除菌療法。
3)血小板数が2-3万以下で出血があれば、副腎皮質ステロイド。
4)ステロイド無効例では,摘脾術を考慮。摘脾術に際して,免疫グロブリン大量療法を先行。
5)トロンボポエチン受容体作動薬

ITPと抗リン脂質抗体症候群(APS)の合併もあり、摘脾術時の術後血栓症に注意が必要です。


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播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:02 | 医師国家試験・専門医試験対策

2018年5月10日

血便、焼肉、血小板低下(医師国家試験)

医師国家試験の再現問題です。


10歳の女児。血便を主訴に父親と来院した。

6日前に家族と焼肉を食べに行った。
3日前から水様下痢が出現し、昨日からは血便になり激しい腹痛を自覚するようになったため受診した。

身長135cm、体重32kg。体温37.2℃ 。脈拍84/分、整。血圧120/70mmHg。

血液所見:
赤血球250万、:Hb8.2g/dL、Ht25%、自血球9,000(得状核好中球10%、分葉核好中球70%、リンパ球20%)、血小板8.0万。

末柏血塗休May―Giemsa染色標本を別に示す(省略:砕赤血球の存在)。


この患者が合併しやすいのはどれか。


a 急性腎障害
b 急性肝不全
c 潰瘍性大腸炎
d 自己免疫性溶血性貧血
e 播種性血管内凝固 (DIC)



(解説)
・「小児」、「焼肉を食した」、「血便」はポイントになっています。

・貧血、血小板数低下、末梢血液像での破砕赤血球の存在は、血栓性微小血管障害症(TMA)を想起します。

・TMAには、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、HELLP症候群(妊娠合併症)、造血幹細胞移植後などがあり、これらの疾患が鑑別に上がります。

・近年は、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)も話題になっていますが、まだ医師国家試験レベルではないでしょう。

・小児、焼肉、血便、血液検査(赤血球破砕像、貧血、血小板数低下)から、溶血性尿毒症症候群(HUS)と診断されます。


a  急性腎障害は、HUSの特徴の一つです。

b  急性肝不全は、HELLP症候群で見られます。

c  潰瘍性大腸炎は、本症例では血便以外には一致した所見はありません。ただし、潰瘍性大腸炎では、深部静脈血栓症を合併しやすいことは知っておきたいです。

d  自己免疫性溶血性貧血を示唆する所見はありません。

e  DICの診断のためには、血小板数以外に、FDP(またはD-ダイマー)、フィブリノゲン、プロトロンビン時間などの情報が必須です。


(正答) a



(備考)

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)


<本態>

微小血管内皮障害および血小板活性化により微小な血小板血栓が多発し、血小板数低下に伴う出血傾向とともに、動揺する精神症状をきたします。

<発症機序>
von Willebrand因)切断酵素(ADAMTS13)に対する自己抗体が出現し、この酵素活性が著減。その結果、unusually large vWFが出現し血小板凝集が進行。

<五主徴>
1.血小板数減少
2.溶血性貧血(赤血球破砕像)
3.動揺する精神症状
4.腎障害
5.発熱

<検査>

・血小板数減少、赤血球破砕像(+)
・溶血性貧血の所見:間接ビリルビンの上昇、LDHの上昇、ハプトグロビンの低下。

<治療>
血漿交換、新鮮凍結血漿輸注、副腎皮質ステロイド。
濃厚血小板は禁忌。




溶血性尿毒症症候群(HUS)

<本態>

(TTPとの相違点)腎不全の合併。小児に多いです。

<発症機序>
ADAMTS13に対する自己抗体の出現はありません。
病原性大腸菌の産生するVero毒素が原因となることが多いです。

<三主徴>
1. 血小板数減少
2. 溶血性貧血(赤血球破砕像)
3. 急性腎不全。

<検査>

TTPと同じ + 腎不全の所見。

<治療>
腎不全の治療、血漿交換など。

 

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播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:43 | 医師国家試験・専門医試験対策

深部静脈血栓症、プラスミノゲン活性化抑制因子1(医師国家試験)

医師国家試験の再現問題です。


深部静脈血栓症の発症リスクとなるのはどれか.2つ選べ.


a アンチトロンビン欠乏症
b 第XIII因子欠損症
c フィブリノゲン欠乏症
d プラスミノゲン活性化抑制因子1欠損症
e プロテインS欠乏症



(解説)

a アンチトロンビンは、プロテインC、プロテインSとともに、生理的な凝固阻止因子です。

b 第XIII因子は、フィブリンを架橋結合して安定化させます。第XIII因子の著明な低下は出血症状をきたします。

c フィブリノゲンは止血の最終段階で、トロンビンの作用によりフィブリンに転換します。フィブリノゲンの低下は出血傾向となります。

d プラスミノゲン活性化抑制因子1(plasminogen activator inhibitor 1:PAI-1)は、組織プラスミノゲンアクチベーター(tissue plasminogen activator:t-PA)と1対1結合することで、線溶阻止的に作用します。

e 先手性プロテインS欠乏症(日本人では1/55人の発症頻度)が知られていますが、プロテインSは経口避妊薬、妊娠、炎症など後天的にも低下します。経口避妊薬の血栓傾向の理由として、プロテインSの低下があげられます。




(備考)

・血栓性素因は、先天性として、先天性アンチトロンビン・プロテインC・プロテインS欠損症など、後天性として抗リン脂質抗体症候群などがあります。


深部静脈血栓症

1)罹患血管は深部静脈。上肢よりも下肢の方が、はるかに多いです。
2)原因:長期臥床、悪性腫瘍、先天性&後天性凝固異常など。
3)症状:片下肢の腫脹、疼痛。
4)肺塞栓:合併すると致命症になる場合があります。
5)治療:抗血栓療法。急性期はヘパリン類(未分画ヘパリンなど)、慢性期はワルファリンを使用。ただし、近年は、新規経口抗凝固薬(NOAC)(直接経口抗凝固薬(DOAC)とも言う)で、急性期〜慢性期の治療を通して行われることも多くなりました。


プラスミノゲン活性化抑制因子1(plasminogen activator inhibitor 1:PAI-1)

1)    血管内皮からt-PAが産生されると、t-PAはプラスノゲンをプラスミンに転換します。
2)    プラスミンが血栓(フィブリン)を分解すると、血栓の分解産物であるFDP(D-ダイマー)が形成されます。
3)    PAI-1は、t-PA同様に血管内皮から産生され、t-PAと1:1結合することで、線溶を阻止します。
4)    PAIが上昇した症例においては、線溶に抑制がかかり、血栓傾向となります。
5)    例えば敗血症に合併したDICにおいては、PAI-1が著増するために血栓が溶解されにくく、微小循環障害に起因する臓器障害をきたしやすいです。


(正解) a、e

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:34 | 医師国家試験・専門医試験対策

血栓、赤血球新生、鼻血(CBT)

CBTの再現問題です。


血栓ができやすいのはどれか

A.    血小板の粘着能低下
B.    プラスミン活性低下
C.    フィブリノゲン減少
D.    第VIII因子活性低下
E.    α2プラスミンインヒビター活性低下



(解説)

血栓症になりやすい病態、出血をきたしやすい病態を、それぞれ理解しておきたいところです。

A.    血小板粘着能が低下しますと、出血しやすくなります。von Willebrand病Bernard-Soulier症候群では、血小板粘着能が低下します。

B.    プラスミン活性が低下しますと、線溶能が低下します(血栓が溶解しにくくなります)。つまり、易血栓状態になります。

C.    フィブリノゲン(第I因子ということもあります)が減少すると、出血しやすくなります。

D.    第VIII因子活性が低下すると、出血しやすくなります。具体的には、血友病Aやvon Willebrand病では第VIII因子活性が低下します。

E.    α2プラスミンインヒビター(α2PI)活性が低下しますと、線溶能が亢進します。止血血栓まで溶解することで出血しやすくなります。線溶亢進型DICでは、α2PI活性が低下します。



(備考)

血栓の形成には3つの要因(ウィルヒョウの三要素)が存在します。

1.    血管内皮細胞障害:喫煙、高脂血症、高血圧、糖尿病などが原因で血管内皮細胞の機能が低下します。

2.    血流の状態(鬱帯):長期臥床、大動脈瘤、心房細動(心内の血液滞留:心原性脳塞栓の原因となります)など。

3.    血液性状の変化(粘稠度の増加、線溶能低下、凝固亢進状態など):脱水、感染症(線溶阻止因子であるPAIの上昇)、先天性アンチトロンビン欠損症、先天性プロテインC欠損症、先天性プロテインS欠損症など


(正解)  B





赤血球の新生を促進しないのはどれか。

A.    エリスロポエチン
B.    出血
C.    迷走神経刺激
D.    高地トレーニング
E.    メテノロン



(解説)

A.    エリスロポエチン(Erythropoietin)は、赤血球産生を促進する造血因子の一つです。腎性貧血の治療に用いられることがあります。

B.    出血後には、赤血球の新生が盛んになります。

C.    迷走神経刺激は関係ありません。

D.    高地トレーニングなど、慢性の低酸素状態になると腎臓でのエリスロポエチン産生が亢進します。

E.    蛋白同化ステロイドの酢酸メテノロンは、再生不良性貧血の治療に用いられることがあります。




(備考)

赤血球の新生に必要な因子:エリスロポエチン(腎臓で産生)、ビタミンB12、葉酸、鉄など。



(正解)  C




2歳の男児。鼻血が止まりにくいことを主訴に来院した。

膝関節に腫脹を認める。
幼児期からよく皮下出血をきたしていた。
祖父に同様のエピソードがあったという。
出血時間3分(基準2〜5)、PT12秒(基準10〜15)、APTT 50秒(基準 30〜40)。

最も考えられるのはどれか。

A.    von Willebrand病
B.    アレルギー性紫斑病(IgA血管炎)
C.    血小板減少性紫斑病
D.    血小板無力症
E.    血友病
F.    抗リン脂質抗体症候群
G.    再生不良性貧血
H.    全身性エリテマトーデス
I.    多発性骨髄腫
J.    ビタミンK欠乏症



(解説)

出血しやすくなる病態には、以下の5つがあります。

1)血小板数の低下(骨髄での産生低下、末梢での破壊や消費、血小板の分布異常)
2)血小板機能の低下
3)凝固異常
4)過線溶状態
5)血管壁の脆弱性。

まず、本症例は出血時間が正常です。

出血時間は、血小板数の低下、血小板機能の低下、血管壁の脆弱性のいずれかで延長します。
上記の1)2)は不定されます。

次に、PTは正常ですが、APTTのみが延長しています。
XII、XI、IX、VIII因子のいずれかに問題があると考えられます。

APTTが延長する出血性疾患は、血友病A(先天性の第VIII因子活性低下)、血友病B(先天性の第IX因子活性低下)、von Willebrand病(von Willebrand因子<VWF>は第VIII因子のキャリアー蛋白であり、VWFが低下すると第VIII因子も低下)が知られています。

膝関節に腫脹がみられており関節内出血が疑われます。

幼少時から皮下出血がみられ先天性の出血性疾患が疑われます。

祖父に同様のエピソードがあったため、伴性劣性遺伝を示唆しています。

以上より、血友病Aまたは血友病Bと考えられます(上記の3)に属する出血性疾患)。

なお、von Willebrand病では、出血時間もAPTTも延長します。
von Willebrand病では、出血症状も関節内出血などの深部出血ではなく、鼻出血、過多月経などの粘膜出血がみられやすいです。


(正解)  E

 

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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:10 | 医師国家試験・専門医試験対策

出血時間延長,PT 正常,APTT 延長(CBT)

CBTの再現問題です。



出血時間は延長,PT は正常,APTT は延長を示す疾患で,低下がみられる凝固因子はどれか。

A 第I因子
B 第II因子
C 第III因子
D 第IV因子
E 第V因子
F 第VII因子
G 第VIII因子
H 第IX因子
I 第X因子
J 第XI因子
K 第XII因子
L 第XIII因子



<出血時間が延長する病態>

1)    血小板数低下:特発性血小板減少性紫斑病、急性白血病、再生不良性貧血、肝硬変など。
2)    血小板機能低下:血小板無力症(Glanzmann病)、Bernard-Soulier症候群、von Villebrand病、アスピリンなどのNSAID内服、尿毒症など。
3)    血管壁の脆弱性

(注意)血友病A&B、ビタミンK欠乏症、ワルファリン内服中などの凝固因子に関連した出血性疾患では、出血時間は正常です。



<PTが延長する病態>
第VII、X、V、II、I因子のいずれかの活性が低下した場合

1)    ビタミンK欠乏症、ワルファリン内服中(ワルファリンはビタミンKの拮抗薬)
2)    肝不全、肝硬変などの肝疾患
3)    先天性第VII因子欠損症 など。



<APTTが延長する病態>
第XII、XI、IX、VIII、X、V、II、I因子のいずれかの活性が低下した場合

1)    血友病A&B:それぞれ、第VIII因子、IX因子の先天性欠損症
2)    von Villebrand病:von Villebrand病では、von Villebrand因子(VWF)が低下しています。VWFは、第VIII因子のキャリアー蛋白でもあり、VWFが低下すると第VIII因子も低下します。
3)    先天性第XII因子欠損症、先天性第XI因子欠損症
4)    ビタミンK欠乏症(重症例):軽症例では、PT延長のみのことも多いです。ビタミンK依存性凝固因子(半減期の短い順番に、VII、IX、X、II)の中で、ビタミンK欠乏で最初に低下するのは、半減期の短い第VII因子です。
5)    ヘパリン投与中 など。



<本症例>


出血時間という血小板関連検査が延長し、APTT という凝固関連検査も延長しています。
von Villebrand病では、血小板粘着能(血小板機能)が低下するために出血時間が延長します。
VWF低下に伴い第VIII因子活性も低下するために、APTTも延長します。
PTは正常です。
なお蛇足ながら、第VI因子は欠番であり存在しません。



(正解) G 第VIII因子

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2018年3月25日

DIC臨床検査所見、PT、APTT、出血時間(CBT)

CBTの再現問題と解説です。

DICでみられるのはどれか.

a 出血時間正常,PT正常,APTT正常
b 出血時間正常,PT正常,APTT延長
c 出血時間正常,PT延長,APTT正常
d 出血時間正常,PT延長,APTT延長
e 出血時間延長,PT正常,APTT正常
f 出血時間延長,PT正常,APTT延長
g 出血時間延長,PT延長,APTT正常
h 出血時間延長,PT延長,APTT延長




(解説)

DICの診断には、血液凝固検査の評価が不可欠です。
本問には登場しませんが、FDP、D-ダイマーはもっとも重要なマーカーです。




(正解)h



(ポイント)


播種性血管内凝固症候群(DIC)の臨床検査所見
1.基礎疾患の存在.

2.出血症状の存在.

3.臓器症状の存在.

4.血小板数の低下

5.血中FDP(D-ダイマー)の上昇

6.血中フィブリノゲンの低下
7.プロトロンビン時間(PT)の延長(進行例でのみAPTTの延長もみられることあり)
8.アンチトロンビン (AT)の低下:消費性凝固障害の一環として、活性型凝固因子と1:1結合。
9.プラスミノゲンの低下、α2プラスミンインヒビター(α2PI)の低下。消費性凝固障害の一環として、二次線溶に伴い消費される。特に、線溶亢進型DICの典型例では、α2PIは著減する。
3. トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)、可溶性フィブリン(SF)の上昇。
4. プラスミン-α2PI複合体(PIC) の上昇。特に、線溶亢進型DICの典型例では、PICは著増。

(備考)
本問では、APTTの延長を正解にして良いですが、実臨床ではAPTTの延長しないDICも多いです。


DICの病型分類

線溶抑制型DIC:敗血症などの重症感染症。臓器症状がみられやすいです。
線溶亢進型DIC:急性前骨髄球性白血病(APL)、大動脈瘤、巨大血管腫、前立腺癌など。出血症状がみられやすいです。
線溶均衡型DIC;固形癌など(ただし一部の癌は線溶亢進型DIC)。

<リンク>

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2018年3月24日

DICの基礎疾患(CBT)

CBTの再現問題と解説です。

DICの基礎疾患として誤っているのはどれか.

 a 敗血症
 b 羊水塞栓症
 c 重症急性膵炎
 d 腹部大動脈瘤破裂
 e ビタミンK欠乏症



(解説)

DICでは多くの基礎疾患が存在します。
三大基礎疾患は、敗血症、固形癌、急性白血病です。
その他、産科合併症、大動脈瘤、急性膵炎など。

a 敗血症は、線溶抑制型DICを合併します。臓器症状が見られやすいです。

b 産科合併症の、常位胎盤早期剥離や羊水塞栓症などでは、線溶亢進型DICを合併します。
大出血が見られやすいです。

c 重症急性膵炎は、DICの基礎疾患の一つです。

d 大動脈瘤、解離性大動脈瘤では、線溶亢進型DICを合併します。

e ビタミンK欠乏症はPT延長が見られる出血性疾患ですが、DICとは無関係です。




(正解)e



(ポイント)


DICの基礎疾患
1.    感染症:敗血症、その他の重症感染症
2.    造血器悪性腫瘍:急性前骨髄球性白血病(APL)、その他の急性白血病、悪性リンパ腫など
3.    固形癌(通常は転移を伴った進行癌)
4.    組織損傷:外傷、熱傷、熱中症、横紋筋融解症
5.    手術後
6.    血管関連疾患:大動脈瘤、解離性大動脈瘤、巨大血管腫
7.    肝障害:劇症肝炎、急性肝炎、肝硬変
8.    急性膵炎
9.    ショック
10.    溶血、血液型不適合輸血
11.    蛇咬傷
12.    その他

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2018年3月23日

鼻出血、紫斑、血小板低下(CBT)

CBTの再現問題と解説です。

21歳の女性.
学生.鼻出血が止まらないため来院.
下肢に紫斑が見られる.
検査の結果,赤血球360万,白血球6000,血小板2万,PT・APTT正常.骨髄穿刺像を示す.
この疾患で見られるのはどれか.
(骨髄像:巨核球の増加)

 a  補体上昇
 b  フェリチン上昇
 c  直接ビリルビン値上昇
 d  抗血小板抗体
 e  破砕赤血球の出現



(解説)
a 本症例は、特発性血小板減少性紫斑病(ITP:近年は免疫性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少症ともいう)です。補体の変化は見られません。


b フェリチンの低下する代表的疾患は鉄欠乏性貧血など、増加する代表的疾患はヘモクロマトーシス、血球貪食症候群などです。
ITPでは出血のために、鉄欠乏性貧血を合併することがあります。

c 直接ビリルビン値は、肝胆道系疾患などで上昇します。間接ビリルビン値は、溶血などで上昇します。

d ITPでは血小板に対する自己抗体が出現して、脾臓で血小板が破壊されます。

e 破砕赤血球は、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群、HELLP症候群などで出現します。



(正解)d



(ポイント)

特発性血小板減少性紫斑病(免疫性血小板減少性紫斑病:ITP)

血小板に対する自己抗体が産生され、血小板の破壊(脾で)が亢進し、血小板寿命は短縮し出血傾向をきたします。
小児科領域では,先行感染を伴った急性型が多いのに対して(しばしば自然治癒)、内科領域では、先行感染のない慢性型が多いです(女性に多いです)。

【症状】
点状出血、粘膜出血など。

【検査&診断】
・血小板数の低下(PT&APTTは正常)。
・他血液疾患の除外(除外診断)。特に,MDSは確実に否定。
・骨髄巨核球の増加:末梢での血小板破壊に対する反応。
・血小板結合性IgG(PAIgG)の上昇。

【治療】

1)血小板数が数万以上では無治療で経過観察。
2)血小板数が2-3万以下で出血があれば、副腎皮質ステロイド。
3)無効例では,摘脾術を考慮。摘脾術に際して,免疫グロブリン大量療法。
4)ピロリ菌の除菌療法:ピロリ菌陽性の場合はまず考慮。
5)トロンボポエチン受容体作動薬

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:59 | 医師国家試験・専門医試験対策

2018年3月22日

血友病とビタミンK欠乏症の鑑別(CBT)

CBTの再現問題と解説です。

血友病とビタミンK欠乏症の鑑別に有用な値はどれか.


 a  APTT
 b  PT
 c  フィブリノゲン濃度
 d  血小板数
 e  出血時間




(解説)

a 血友病A(第VIII因子の先天性欠損)、血友病B(第IX因子の先天性欠損)のいずれであっても、APTTは延長します(PTは正常)。
ビタミンK欠乏症では、重症例ではPTのみならずAPTTも延長します。
ただし、軽症例ではPTのみ延長が見られ、APTT延長は見られないことも多いです。

b 血友病ではPT延長は見られません。ビタミンK欠乏症では、PT延長が特徴的です。

c 血友病とビタミンK欠乏症ともに、フィブリノゲン濃度は正常です。

d 血友病とビタミンK欠乏症ともに、血小板数は正常です。

e 血友病とビタミンK欠乏症ともに、出血時間は正常です。

出血時間が延長するのは、

1)血小板数の低下
2)血小板機能の低下
3)血管壁の脆弱性の存在

の3つの場合のみです。




(正解)b

 

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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
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