2018年5月1日
免疫チェックポイント阻害薬と辺縁系脳炎
松岡寛樹大学院生の症例報告
「Nivolumab-induced Limbic Encephalitis with Anti-Hu Antibody in a Patient with Advanced Pleomorphic Carcinoma of the Lung」
が、Clinical Lung Cancer誌に採択されました。
現在、免疫チェックポイント阻害薬のひとつであるニボルマブは、既治療IV期非小細胞肺癌に対する標準治療の一つです。
今回は、ニボルマブ投与により辺縁系脳炎を発症した症例を報告しました。
免疫チェックポイント阻害薬の有害事象として辺縁系脳炎を発症する頻度は低いものの、発症した場合に重篤となるため広く周知させる必要があると考えられます。
これまでに免疫チェックポイント阻害薬による辺縁系脳炎に関する詳細は明らかではありませんでしたが、今回の症例報告では、ニボルマブ投与前から辺縁系脳炎発症後、死亡時までの画像所見や治療効果、剖検所見など臨床情報を詳細に提示しています。
また、ニボルマブ治療前と辺縁系脳炎発症後に採取された検体から傍腫瘍性神経症候群関連抗体を測定し、辺縁系脳炎発症前から抗Hu抗体が検出されました。
無症候性の抗Hu抗体陽性が免疫チェックポイント阻害薬による神経関連有害事象の発症予測因子となりうる可能性を示しました。
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