金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2008年09月30日

抗血栓療法(抗血小板療法、抗凝固療法):アスピリンとワーファリンの使い分け

抗血栓療法(抗血小板療法、抗凝固療法)について、表にして整理したものを作成しましたので、記事にしておきたいと思います。

まとめ

抗血小板療法(アスピリンなど)は、血流が速い環境下で形成される血小板血栓に対して有効です。
代表的疾患は、心筋梗塞、脳梗塞(心房細動を除く)、末梢動脈血栓症になります。
その他には、冠動脈ステント留置後、網膜中心動脈(網膜分枝動脈)閉塞症、腸間膜動脈血栓症などにも使用されます。

抗凝固療法(ワルファリンなど)は、血流が遅い環境下で形成される凝固血栓に対して有効です。
代表的疾患は、深部静脈血栓症、肺塞栓、心房細動になります。
その他には、門脈血栓症、網膜中心静脈(網膜分枝静脈)閉塞症、腸間膜静脈血栓症、脳静脈洞血栓症などにも使用されます。


抗リン脂質抗体症候群(APS)では、胎盤に血栓が形成されることなどが原因となって、習慣性流産(不育症)をきたします。
胎盤の血流は。。。と考える以前に大きな問題があります。

抗血栓療法治療薬で、催奇形性の問題がないと断言できる薬剤は内服ではアスピリンのみ、注射薬ではヘパリンのみです。アスピリン内服(必要に応じてヘパリン皮下注の併用)で対応します。

なお、ワルファリンには催奇形性の副作用の問題がありますので、APSの習慣性流産対策に使用してはいけません。

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:58| 抗凝固療法 | コメント(0) | トラックバック(0)

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