抗Xa薬か、抗トロンビン薬か:抗凝固療法開発の歴史
抗凝固薬開発の歴史の中で興味あることとして、活性型第X因子(Xa)およびトロンビンの2つの活性型凝固因子のうち、より選択的にXa活性を抑制する薬剤と、より選択的に抗トロンビン活性を抑制する薬剤、異なった方向性での薬剤の探究が行われてきたことがあげられます。
抗Xa薬(低分子ヘパリン、フォンダパリヌクスなど)開発の根底にある考え方は、トロンビンを強力に抑制すると出血の副作用が強くなってしまうために、抗Xa/トロンビン活性比が高い薬物を開発しようということでした。
一方で、抗トロンビン作用をもとめての開発もされてきました。
新規経口抗凝固薬のうちで抗トロンビンであるダビガトラン(プラザキサ)、ヒルジン、トロンボモジュリン製剤(リコモジュリン)は、抗トロンビン作用を有しています。
一体、抗Xa薬と、抗トロンビン薬のどちらが優れているのでしょうか?
それぞれの抗凝固薬については、効果、副作用両面からの検証が必要だと思いますが、どの薬剤が優れた薬剤であるかはまだ結着はついていないのではないかと思います。
管理人らは、それぞれの臨床の状況ごとに最も有用な薬剤は異なってくるのではないかと考えています。
また、前述のように、抗凝固薬探究の別の観点からの動向として、内服可能な薬剤の開発が挙げられます。
これまでは内服可能な抗凝固薬はワルファリンのみでしたが、ワルファリンはビタミンK依存性凝固因子活性を低下させますが、ヘパリンのように活性型凝固因子を阻止する訳ではありません。
活性型凝固因子を阻止する内服可能な抗凝固薬(新規経口抗凝固薬/NOAC)は、臨床的に今後とても期待されるところです。
(※)図中で、トロンボモジュリンは抗トロンビン作用のみでなく、活性化プロテインCを介して、Va&VIIIaも抑制しますので、※印をつけてあります。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:15| 抗凝固療法 | コメント(0) | トラックバック(0)