2008年11月10日
汎血球減少(骨髄不全):再生不良性貧血、MDS、PNH
骨髄不全とは:
血球減少を呈する疾患のうち、その原因が血球の破壊の亢進や、骨髄の占拠性病変による二次的な造血障害ではなく、造血幹細胞の減少や質的異常のために血球産生が持続的に減少した状態。
一般には:
1) 再生不良性貧血(aplastic anemia:AA)
2) 骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)
3) 発作性夜間血色素尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria:PNH)
などの特発性の造血障害を表しているが、これらの疾患は互いの境界が必ずしも明瞭ではなく、相互に移行することがある。
共通点:
免疫病態による造血障害と、造血幹細胞自身の異常による造血障害が混在している。
(→近年では骨髄不全または骨髄不全症候群として一括して呼ばれることが多い)
ポイント:
日常診療では骨髄不全という漠然とした症候群の中に診断を押し込めるのではなく、下記の鑑別が重要。
1) 免疫抑制療法を中心とする薬物療法によって治せる骨髄不全
2) 薬物療法では治せない(造血幹細胞移植を必要とする)骨髄不全
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:11| 血液疾患(汎血球減少、移植他) | コメント(0) | トラックバック(0)