2008年12月12日
播種性血管内凝固症候群(DIC):出血症状(血尿)(図解22)
DICの2大症状は、出血症状と、臓器症状です。
前回、前々回のこのシリーズの記事では、LPS誘発DICモデルでは臓器障害は高度で腎糸球体フィブリン沈着は高度であるのに対して、組織因子(TF)誘発DICモデルでは、臓器障害はほとんどなく腎糸球体フィブリン沈着は軽度であると書かせていただきました。
それでは、DICのもう一つの症状である出血症状についてはどうでしょうか。
私たちは、上図の結果に大変驚きました。TF誘発DICモデルでは高頻度に出血症状としての血尿が見られたのに対し、LPS誘発DICモデルでは血尿は全く見られなかったからです。
どちらのDICモデルにおいても、血小板数やフィブリノゲンは同程度に低下したにもかかわらず、血尿出現率がまるで違うのです。
このことからも、DICにおいて出血が見られる場合には、その理由は、単に血小板数や凝固因子の低下と言った消費性凝固障害(consumption coagulopathy)の要素のみでは説明できないものと考えられます。
やはり線溶活性化(enhanced fibrinolysis)に伴う止血血栓の溶解が、出血しやすいかどうかの大きな要素になっているようです。
以下で、DIC関連記事とリンクしています。
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DIC(敗血症、リコモジュリン、フサン、急性器DIC診断基準など)へ
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 18:19| 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0) | トラックバック(0)