医師国家試験対策:統合試験過去問より(リンパ腫など)
金沢大学医学部では、卒業前に統合試験という名の試験が行われています。
文字通り、学んだ全ての領域が試験範囲になっています。
管理人はその詳細を知る立場にはありませんが、医学部卒業試験とプレ医師国家試験をたして2で割ったような意味合いではないかと理解しています。
問題作成者は、医師国家試験を意識して作題していますので、医師国家試験対策にもなっているのではないかと思っています。
当科が出題した昨年の過去問を紹介させていただきます。本年の統合試験で類似の問題が出題されることはないと思いますが、医師国家試験対策になるのではないかと思っています。
臨床問題
右頸部リンパ節腫大のため近医を受診し、生検の結果びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断された60歳男性が内科外来に紹介された。生検以外の検査は受けていない。治療開始前に行うべき検査のうち、必要性の低いものはどれか。1つ選べ。
(1) 頚部から骨盤にかけての造影CT
(2) 血清LDHの測定
(3) 骨髄染色体分析
(4) FDG-PET
(5) 上部消化管内視鏡検査
【作問のねらい】
非ホジキンリンパ腫の臨床病期の決定と、予後を予測するために必要な検査を問う問題である。
造影CT、上部消化管内視鏡はステージングのために必要であ る。
LDHは国際予後指数を計算するための必須検査である。
FDG-PETは、のちに治療の反応性を評価するために、治療前に行っておくことが望ましい。
骨髄穿刺、骨髄生検も必須の検査であるが、骨髄に明らかなリンパ腫の浸潤がない場合、染色体分析の必要性は高くない。
【正答】 (3)
必須問題
疾患と治療の結びつきの中で誤っているのはどれか。
(1) 多発性骨髄腫−ボルテゾミブ
(2) 急性前骨髄球性白血病−ゲムツズマブオゾガマイシン(カリケアマイシン抱合抗CD33抗体
(3) 難治性濾胞性リンパ腫−イブリツモマブチウキセタン(イットリウム抱合抗CD20抗体)
(4) 輸血後鉄過剰症−デフェラシロクス
(5) 骨髄異形成症候群−トシリズマブ(抗IL-6抗体)
【作問のねらい】
話題の新薬と、それが適応となる疾患を問う問題である。
ボルテゾミブは難治性の多発性骨髄腫に対して有効である。
ゲムツズマブオゾガマイシンは難治性急性 前骨髄性白血病にしばしば用いられる。
イブリツモマブチウキセタンは放射線物質90Yを抱合させた抗CD20抗体で、治療抵抗性濾胞性リンパ腫に有効であ る。
デフェラシロクスは経口鉄キレート剤として注目されており、輸血後鉄過剰症の治療に用いられる。
トシリズマブは慢性関節リウマチやキャッスルマン病な どに用いられる抗IL-6抗体であり、骨髄異形成症候群とは無関係である。
【正答】 (5)
【シリーズ記事】
研修医の広場(金沢大学第三内科) ← 当科での研修の様子をご覧いただくことができます。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:06| 医師国家試験・専門医試験対策