金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年07月25日

小児の劇症型抗リン脂質抗体症候群:小児APS(9)

小児抗リン脂質抗体症候群の「非」血栓症状:小児APS(8)より続く。

 
 
【小児の劇症型抗リン脂質抗体症候群】

劇症型抗リン脂質抗体症候群(Catastrophic antiphospholipid syndrome:CAPS)はまれな病態ですが、急激に血栓が多発し多臓器不全に陥る致死率の高いAPSの特殊型です(参考:血液凝固検査入門)。

CAPSの発症頻度は、成人APSでは1%以下と推測されています。

小児APSでも報告されていますが、ほとんどが先行感染と関連します。


大血管が閉塞しているにもかかわらず、臨床的には腎、肝臓、中枢神経、肺、心臓、皮膚の細小血管循環障害の所見を示します。

 

最近では、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)播種性血管内凝固症候群(DIC)などに類似した病態を示すことより、細小血管障害性APS (microangiopathic antiphospholipid-associated syndrome: MAPS)と呼ぶことが提唱されています。

Asherson RA, et al.: Microangiopathic antiphospholipid-associated syndromes revisited – new concepts relating to antiphospholipid antibodies and syndromes. J Rheumatol 34: 1793-1794, 2007.


(続く)

小児の感染症惹起抗リン脂質抗体症候群:小児APS(10)



【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:00| 血栓性疾患