臍帯血移植後HPS/HLHと骨髄GVHD:血球貪食症候群(HPS)(8)
成人HPS/HLHの治療:血球貪食症候群(HPS)(7) より続く。
虎の門病院からの報告によりますと、臍帯血ミニ移植119例中20例(17%)において、HPS/HLHがみられました。
Takagi S, et al: High incidence of haemophagocytic syndrome following umbilical cord blood transplantation for adults. British Journal of Haematology 147:543-553, 2009.
多くは移植後3週以内に発症し、血液回復しないまま致死的経過をたどりました。
大半はドナー型キメラであったことから、HPS/HLHを起こす免疫担当細胞は主にドナー由来と考えられました。
同グループは、GVHD方向のHLA不一致と臍帯血移植後生着不全の関連も明らかにし(Matsuno: Blood 2009)、GVHD 機序が移植後HPS/HLHを起こす可能性に言及しました。
最近、東大の松島らは「骨髄GVHD」の概念を提唱し、MHC不一致移植後造血nicheが早期に破壊されることを動物モデルで明らかにしました(Blood 2010, in press)。
このような「骨髄GVHD」が、移植後早期のHPS/HLHなど、実際に臨床で起こっているかどうか興味深いところです。
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移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断
【シリーズ】溶血性貧血(PNH、AIHAほか) (8回シリーズ)
【シリーズ】造血幹細胞移植後の再発(4回シリーズ)
【シリーズ】造血幹細胞移植前処置としてのATG(6回シリーズ)
【リンク】金沢大学血液内科・呼吸器内科関連
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:53| 血液疾患(汎血球減少、移植他)