金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年08月08日

成人HPS/HLHの治療:血球貪食症候群(HPS)(7)


小児HPS/HLHの治療と予後:血球貪食症候群(HPS)(6) より続く。

 
 

成人HPS/HLHの治療と予後

成人HPS/HLHは二次性に起こるため、原因疾患の診断・治療がより重要となります。

薬剤性が疑われる場合には、原因薬剤を中止します。

腫瘍関連HPS/HLHは原疾患の治療を優先します。

急激に進行する場合(特にEBVAHS)などには、小児HPS/HLHに準じた化学療法を行っても良いです。

EBV以外の感染症や自己免疫疾患など非腫瘍性の場合、全身状態が落ち着いていれば、原因疾患の治療のみで改善することも多いです。

高サイトカイン血症による臓器傷害予防に、ステロイドの先行投与や血漿交換などが試みられていますが、有効性は不明です。

T/NK細胞性は比較的若年層に多く(一次性・二次性HPS/HLHの診断:血球貪食症候群(HPS)(5))、全体に予後不良です(小児HPS/HLHの治療と予後:血球貪食症候群(HPS)(6))。

Ishii E, et al: Nationwide survey of hemophagocytic lymphohistiocytosis in Japan. Int J Hematol 86:58-65, 2007

LAHSが疑われ全身状態が急激に悪化する場合、組織診が得られる前に、臨床診断だけで抗がん剤治療を開始して良いです。


 (続く)臍帯血移植後HPS/HLHと骨髄GVHD:血球貪食症候群(HPS)(8) 

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:37| 血液疾患(汎血球減少、移植他)