2010年11月30日
序論:造血幹細胞移植入門(1)
今回から、造血幹細胞移植入門をシリーズでお届けしたいと思います。
まず、今回は序論です。
造血幹細胞移植入門:序論
血液疾患の治療法は日々進歩し、多くの患者が病気を克服して、社会復帰を果たしています。
血液がんは、化学療法や放射線治療に加え、分子標的薬が最大限の 効果を発揮しています。
再生不良性貧血の治療は、免疫抑制療法が確立しています。支持療法の向上も著しいです。
造血幹細胞移植を受けるのは、このような治療で十分 な効果が得られない患者です。
造血幹細胞移植には、血液難病の根治が期待できるという利点があります。
造血幹細胞移植を確立したトーマス医師は、その功績を讃えられ、1990年にノーベ ル賞を受賞しました。ノーベル賞を受賞した臨床医は、他に、世界で初めて腎移植を行ったマレー医師やピロリ菌を発見したマーシャル医師など、数えるほどしかい ません。
造血幹細胞移植は、臨床医学の歴史を塗り替えた偉大な治療法です。
ただし、いいことばかりではありません。造血幹細胞移植最大のマイナス面は、毒性(副 作用)の強さにあります。造血幹細胞移植を行う際は、効果だけでなく、死亡や後遺症を含む重い合併症や移植後再発の恐れ、家族のサポート、社会復帰へ向けた長 い道のりなど、具体的で詳細な説明が求められます。
このシリーズでは、造血幹細胞移植にたずさわる全ての医療関係者を対象に記事としてアップしていきたいと思います。
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【リンク】金沢大学血液内科・呼吸器内科関連
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:59| 血液疾患(汎血球減少、移植他)