2011年01月03日
社会復帰へ:造血幹細胞移植入門(16)
造血幹細胞移植入門:社会復帰へ
移植された新しい造血幹細胞は、2-4週ぐらいで患者の骨髄に住み着きます。これを生着と言います。
生着後白血球の数は徐々に増え、移植病室から一般病室に移ることになります。
ただし、微生物に対する抵抗力(免疫力)はしばらく戻りません。
特にGVHDを合併し、免疫抑制療法を受けている間は免疫不全状態が続きます。
サイトメガロウイルス感染症や帯状疱疹、細菌感染症、真菌感染症など、様々な感染症が起こりやすくなります。
その都度治療を受けるか、予防策が講じられます。
せっかく病気がよくなっても、再発する可能性は残ります。
通常は移植後1-4か月程度で退院しますが、その後も移植の毒性(副作用)や合併症など、乗り越えていく山は多いです。
担当医や看護師、薬剤師、ソシアルワーカー、心のケアの専門家などと相談しながら、徐々に社会復帰を目指します。
その過程において、家族や友人など親しい人たちのサポートは非常に重要です。
社会復帰には、早くて移植後3-6か月、場合によっては数年かかることもあります。
回復の速さは患者の状態や年齢、病気の種類により様々です。
焦らず慌てず、じっくりとリハビリにつとめることが大切です。
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【リンク】金沢大学血液内科・呼吸器内科関連
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:24| 血液疾患(汎血球減少、移植他)