2011年02月15日
血液型不適合移植の方法:造血幹細胞移植入門(36)
造血幹細胞移植入門:血液型不適合移植の方法
主不適合または主副不適合骨髄移植の場合:
造血幹細胞液に含まれるドナー赤血球を除去した上で、患者に輸注します。自動血球分離装置を用いれば、赤血球95%以上の除去が期待できます。
ただし、単核球回収率は通常80%程度のため、生着不全の危険性が高まる可能性があります。
患者の抗赤血球抗体価が高い(256倍以上)場合、以前は免疫吸着カラムや血漿交換により患者血漿中の抗体除去を行っていました。
しかし、患者の負担が大きく、ドナー赤血球除去だけで通常は安全に移植可能なため、最近はほとんど行われていません。
赤血球生着は、血液型適合と副不適合が中央値21日なのに対し、主不適合または主副不適合の場合、中央値は32日です。
移植後抗A抗体・抗B抗体検査、クームス試験を定期的に実施する必要があります。赤芽球ろうの危険性もあります。
副不適合骨髄移植の場合:
遠心により造血幹細胞液の上清を除去した後、輸注します。
なお、副不適合移植後、ドナーのリンパ球が患者赤血球に対する抗体を産生し、移植後早期に溶血性貧血を起こすことがあります(passenger lymphocyte syndrome)。
これは主副不適合でも生じえます。
通常はIgG抗体ですが、IgG抗体に先行してIgM抗体が産生されることがあります。
移植後抗A抗体・抗B抗体、クームス試験を定期的に実施します。
末梢血幹細胞・さい帯血移植:
赤血球・血漿の混入が少ないため、赤血球除去や上清除去は通常行いません。
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【リンク】金沢大学血液内科・呼吸器内科関連
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:57| 血液疾患(汎血球減少、移植他)