金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2011年02月26日

医師国家試験問題(105回):血液内科 (血栓止血)/臨床問題2

血液内科(血栓止血領域)の医師国家試験問題(第105回)問題を紹介させていただきます。

前回に続きまして、今回も臨床問題です。


27歳の男性.腹痛と発疹とを主訴に来院した.3日前から腹痛と両下肢の赤い発疹とを生じた.両下腿から足背に浸潤を触れ,硝子圧試験で消退しない発疹が多発している.皮膚の病理組織学的検索で真皮上層に血管周囲性の炎症性細胞浸潤を認める.同時に蛍光抗体直接法を施行したところ免疫グロブリンの沈着を認める.下腿の写真(省略:もりあがった感じの紫斑)と皮膚生検組織の蛍光抗体直接法の写真(省略:血管壁に沈着している像)とを別に示す.
 
 
沈着している免疫グロブリンはどれか.

a IgA
b IgD
c IgE
d IgG
e IgM

 

(解説)

a Schönlein-Henoch紫斑病では、病理学的には小血管周囲の炎症性細胞浸潤と血管壁のIgA沈着が特徴です。
b,c,d,e IgA以外の沈着はみられません。


(診断)

Schönlein-Henoch紫斑病 (アレルギー性紫斑病)


(正答)
  a


(参考)

Schönlein-Henoch紫斑病 (アレルギー性紫斑病)

1.    小児に多い (成人にもあり)
2.    血管性出血性素因。毛細血管の透過性が亢進する。皮膚出血斑(特に、下肢に左右対称性の紫斑)を中心とした出血傾向。上気道感染が先行。
3.    時に、腹部症状(腸重積、腹痛、下血など)、関節痛、血尿、腎障害(IgA腎症に類似)を伴う。
4.    全身性の血管炎が本態。血管壁にIgAの沈着 。
5.    PT、APTT、出血時間、血小板数は正常。時に、第XIII因子が低下。
腎障害がなければ、予後は良好。自然治癒も多い。


(参考)

本年は、一般問題でもSchönlein-Henoch紫斑病 (アレルギー性紫斑病)が出題されています。同一疾患が複数出題されていることに違和感を感じた医学生も多いのではないでしょうか。

医師国家試験問題:血液内科(血栓止血領域)

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:45| 医師国家試験・専門医試験対策