活性型第VII因子製剤(rFVIIa)の代謝:ノボセブン
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)は、商品名ノボセブンとして、第VIII因子インヒビターに対して保険適応があります(参考:後天性血友病、血友病)。
しかし、第VIII因子インヒビターのみならず、人間が遭遇する種々の出血に対してしばしば著効するために、全世界的に適応外使用がなされているというのが実状です。
この世に登場して歴史の新しい薬物であるために、まだよくわかっていない点も少なくありません。
今回紹介させていただく論文は、rFVIIaの代謝経路について論じています。
「血友病患者に投与されたrFVIIaは主としてアンチトロンビンにより代謝される」
著者名:Agerso H, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 9: 333-338, 2011.
<論文の要旨>
著者らは、血友病患者に遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)を静注した際の、rFVIIaの薬物動態を検討しました。
重症血友病10症例が対象となりました。
全症例において、rFVIIa 90μg/kg(1.8nmol/kg)が静注されました。
rFVIIaの薬物動態をみるために連続的に採血が行われ、FVIIa:C(活性)、FVII:Ag(EIAによる抗原量)、FVIIa-AT(FVIIaとアンチトロンビンとの複合体:EIA)の測定が行われました。
その結果、rFVIIa:Cのクリアランスは38mL/hr/kgでした。
FVIIa-AT複合体の形成は、rFVIIa:Cのクリアランスの65%を説明可能でした。
rFVIIa:Cの半減期に関しては、初期半減期0.6hr、週末半減期2.6hrでした。
また、rFVIIa-AT複合体の形成は、rFVIIa:CとrFVII:Agの解離現象を説明可能でした。
以上、rFVIIaを静注すると、主としてATにより代謝されるものと考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:20| 出血性疾患