金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年03月16日

活性型第VII因子製剤(rFVIIa)の代謝:ノボセブン

遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)は、商品名ノボセブンとして、第VIII因子インヒビターに対して保険適応があります(参考:後天性血友病血友病)。

しかし、第VIII因子インヒビターのみならず、人間が遭遇する種々の出血に対してしばしば著効するために、全世界的に適応外使用がなされているというのが実状です。

この世に登場して歴史の新しい薬物であるために、まだよくわかっていない点も少なくありません。

今回紹介させていただく論文は、rFVIIaの代謝経路について論じています。

 

 
「血友病患者に投与されたrFVIIaは主としてアンチトロンビンにより代謝される

著者名:Agerso H,  et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 9: 333-338, 2011.


<論文の要旨>

著者らは、血友病患者に遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)を静注した際の、rFVIIaの薬物動態を検討しました。

重症血友病10症例が対象となりました。


全症例において、rFVIIa 90μg/kg(1.8nmol/kg)が静注されました。

rFVIIaの薬物動態をみるために連続的に採血が行われ、FVIIa:C(活性)、FVII:Ag(EIAによる抗原量)、FVIIa-AT(FVIIaとアンチトロンビンとの複合体:EIA)の測定が行われました。


その結果、rFVIIa:Cのクリアランスは38mL/hr/kgでした。

FVIIa-AT複合体の形成は、rFVIIa:Cのクリアランスの65%を説明可能でした。


rFVIIa:Cの半減期に関しては、初期半減期0.6hr、週末半減期2.6hrでした。

また、rFVIIa-AT複合体の形成は、rFVIIa:CとrFVII:Agの解離現象を説明可能でした。


以上、rFVIIaを静注すると、主としてATにより代謝されるものと考えられました。

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:20| 出血性疾患