2011年11月27日
石川県済生会金沢病院:金沢大学第三内科 関連病院紹介(1)
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)病院紹介を続けたいと思います。
今回は、石川県済生会金沢病院です。
呼吸器内科診療部長の小川晴彦先生(S63入局)の記事です。
関連記事:芳珠記念病院:金沢大学第三内科 関連病院紹介(1)へ
石川県済生会金沢病院(病院紹介)
<なでしこ>の紋章と東日本大震災
勝利の女神は、個々の身体能力にではなく、<なでしこジャパン>の鍛え抜かれたチーム力と、極限の精神力に微笑んだ。かくして一躍メディアを騒がせることになった<なでしこ>は、秋の七草として知られるが、凛として清楚な日本女性を意味するとともに、私たち済生会病院の象徴でもある。
露にふす 末野の小草 いかにぞと
あさ夕かかる わがこころかな
初代総裁 伏見宮貞愛(さだなる)親王殿下は、創立当時、済生会の事業についてのお心をこのような「撫子の歌」としてお詠みになり、それにちなんで いつの世にもその趣旨を忘れないようにと、撫子の花に露をあしらったものが、済生会の紋章となっている。
医療救護チーム第2陣が石巻へ派遣されたのは、東日本大震災の発生から約1ヶ月後であった。
なぜ車が沼地に突き刺さっているのか。なぜ橋は途絶え、交差点の中に家があるのか。
街のすべてを押し流し、“なぜ”という言葉の意味さえ奪い去った青い海が、そ知らぬ顔をして遠くに見えた。無力という名の隠れ蓑。
もしも、<なでしこ>の精神を持ち合わせていなければ、自己嫌悪に甘えながら、むなしく任務を終えたかもしれない。— 何かできるはずだ。納得できる何かを。私たちは済生会金沢病院の一員なのだ —
メンバーの強い思いにあと押しされて、避難所の人たちとまっすぐに向き合った。
長年取り組んできた<アレルギー性呼吸器疾患における環境真菌の重要性>というテーマ。
そこから導かれた新しい診断と治療法が、いまここで通用しないのならば、ライフワークとしての価値などあるわけがない。被災地での喀痰採取と環境落下真菌調査は、まさに覚悟と祈りにも似た境地であった。
菜の花が揺れるありふれた春の風景。入り江を見下ろす高台の避難所。
一時の感傷でしかないと知りながらも、青い空はやがて滲んで見えなくなった。
かけがえのない時間を共有した5人の強い絆を誇りに、そして<済生びと>としての自覚を胸に刻み、石巻をあとにした。
(続く)石川県済生会金沢病院:金沢大学第三内科 関連病院紹介(2)へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:19| その他