2011年12月08日
富山のHUSと輸血:吉田喬先生(金沢大学第三内科)
富山県赤十字血液センター:吉田喬先生(金沢大学第三内科)より
富山の輸血事業に従事して(3)
私が富山県赤十字血液センターに来ましてもう一つの大きな出来事は、平成23年5月に全国ニュースにもなりました焼肉屋におけるO111による食中毒事件です。
患者さんは富山県を中心に北陸三県にまたがり、患者数に比してHUS、DICなどを合併した重症患者さんが多数発生して血漿交換などが多数例で行われました。
これまで報告されてきたHUSと異なった臨床像を呈したこともあって、血小板輸血も多くされたことです。
多くの症例が富山県の病院で治療が行われたため、新鮮凍結血漿、濃厚血小板が一週間で富山県の通常の一カ月分が発注され、富山県はもちろん北陸三県でも対応しきれず愛知県からも応援して頂き乗り切ることができました。
このような突発的な事件の時はもちろんですが、血小板不応の原因の一つであるHLA抗体の出現がしばしば見られます。
その時にはHLA適合の血小板を探す必要がありますが、北陸で献血ドナーが得られないことが多く、愛知ブロックを始め全国から探して供給され、供給に対しては全国的に協力体制ができています。
化学療法、造血幹細胞移植などの臨床の最前線から完全な管理職になったわけで、戸惑いもありましたが価値観も切り替えるようにしています。
勤務時間中ほとんど動かなくなったため、少しでも運動不足解消のため、昼休みには雪の立山を眺めながら田んぼのあぜ道を散歩して、以前の患者さんに声をかけられたりしています。
血液学会、各種研究会には出席するようにして臨床の知識を維持するように心がけていますが、やはり臨床的な感、体力などがが衰えて行くのを実感しているところです。
このように日赤本社、愛知ブロックセンターへの出張や、マリエ献血ルームや献血バスの検診がなければ富山県血液センターにいて時間的に余裕もありますから、近くに来られた時には立ち寄って頂ければと思います。
(続く)富山の輸血事業に従事して:インデックス(金沢大学血液内科)へ
【リンク】
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:55| 血液内科