金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年02月06日

DICの治療:合成プロテアーゼインヒビター


DICの治療:抗凝固療法/ヘパリン/アンチトロンビン
より続く


DICの治療(治療法別)(4)合成プロテアーゼインヒビター

2) 抗凝固療法

b. 合成プロテアーゼインヒビター


合成プロテアーゼインヒビター(serine protease inhibitor:SPI)は、AT非依存性に抗トロンビン活性を発揮します。

代表的薬剤は、メシル酸ナファモスタット(商品名:フサンなど)および、メシル酸ガベキサート(商品名:FOYなど)です。

出血の副作用は皆無に近いため、出血の副作用のためにヘパリン類の使用が困難な場合には良い適応となります。

また、両薬剤は膵炎治療薬でもあり、DICのみならず膵炎をも合併している時にも良い適応となります。

メシル酸ナファモスタットは、臨床使用量(1.44〜4.8mg/kg/日、持続点滴静注:標準的体重の人では150〜200mg/24時間)で、抗凝固活性のみならず抗線溶活性も強力であり、線溶亢進型DICに対して有効です。

メシル酸ガベキサートは臨床使用量(20〜39mg/kg/日、持続点滴静注:標準的体重の人では1,500〜2,000 mg/24時間)では抗線溶活性は強くありません。

なお、メシル酸ナファモスタットの高カリウム血症の副作用には注意が必要です。

両薬剤ともに静脈炎の副作用があり、中心静脈からの投与が原則です。


(続く)DICの治療:遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤


【リンク】
 
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:15| DIC