金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年04月04日

原発性骨髄線維症と血栓症:血栓症発症の予知因子

原発性骨髄線維症と血栓症:頻度と危険因子より続く

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「原発性骨髄線維症における血栓症:血栓症の既往が発症予知因子 」

著者名:Elliott, M.A.. et al.
雑誌名:Haematologica 95: 1788-1791, 2010.


<論文の要旨>

原発性骨髄線維症205例(年齢中央値62歳)(JAK2 V617F遺伝子変異を有することがあることで知られています)を対象とした後方視的検討によりますと、13.2%の症例では診断時または診断前に血栓症を発症していました。

その後の経過観察(中央値31ヶ月)では、22症例(10.7%)で血栓症の発症がみられ、その内訳は動脈血栓症9症例(4.4%)(動脈血栓9回)、静脈血栓16症例(7.8%)(静脈血栓24回)でした。

 
静脈血栓症を発症した大多数(71%)では、手術、CVカテーテル留置、ホルモン療法など、その他の外的な血栓症危険因子を有していました。

 
多変量解析(年齢、JAK2遺伝子変異、白血球数を共変量として含む)では、血栓症の既往のみが血栓症発症の予知因子でした(全体ではp=0.04)(動脈血栓症p=0.007、静脈血栓症p=0.02)。

 
以上、原発性骨髄線維症においては、診断後に動脈血栓症よりも静脈血栓症を発症しやすく、特に血栓症の既往のある症例では注意が必要と考えられました。

 

(続く)JAK2遺伝子変異と血栓症:活性化プロテインC抵抗性(PS低下)

 

<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:53| 血栓性疾患