金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年09月25日

PNHと血栓症(11):ワルファリンによる血栓症予防

PNHと血栓症(10):動脈血栓症と静脈血栓症より続く。


PNH症例(クローンサイズ>50%)に対するワルファリンの血栓症一次予防効果

 

図4

Blood. 2003; 102: 3587-91.より引用



PNH症例における血栓症の予防

PNHは稀な疾患であるために、ワルファリンの血栓症発症予防に関する無作為比較試験はありません。

Hallらは、PNH顆粒球クローンサイズが大きい(50%以上)PNH症例に対して、ワーファリンによる血栓症一次予防の効果を後方視的に検討しました。

Hall C, Richards S, Hillmen P: Primary prophylaxis with warfarin prevents thrombosis in paroxysmal nocturnal hemoglobinuria (PNH). Blood. 2003; 102: 3587-91.


その結果、ワルファリン内服を行っていた39症例においては血栓塞栓症の発症はみられなかったのに対して、ワルファリン内服を行っていなかった56症例においては血栓症が10年間で36.5%にみられまし(上図)。

この結果は、ワルファリンの予防効果を示していますが、一方で特に血小板低下症例においては出血の副作用の懸念があります。

実際、上記ワルファリン服用者のうち2症例で高度の出血がみられています。

ワルファリンの出血副作用が出やすい症例でないかどうか慎重に判断する必要はあるものの、PNH顆粒球クローンサイズが大きい(50%以上)症例に対して、ワルファリンは推奨されて良いものと考えられます。


PNH血小板も血栓症発症に何らかの役割を演じているものと考えられていますが、動脈血栓症予防を目的とした抗血小板療法に関する報告はありません。

 

(続く)PNHと血栓症(12):血栓症の治療


<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:42| 血栓性疾患