金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年12月12日

ITPと抗リン脂質抗体症候群(APS)(6)

ITPと抗リン脂質抗体症候群(APS)(5)より続く。

 


ITPに対するEltrombopag使用例での血栓症ですが、海外では4.5%あり、静脈血栓が7割で、動脈血栓が3割と報告されています。

本邦では、4.2%であり、静脈血栓が6割、動脈血栓が4割と報告されています。

Eltrombopagによる血小板増加を期待した治療を行って、なぜ、動脈血栓症(血小板活性化が主病態)ではなく静脈血栓症(凝固活性化が主病態)が多いのかについての理由は不明です(参考:血栓症の分類)。


エルトロンボパグ投与時には、動脈血栓症も静脈血栓症も起こす可能性があるため、この一次予防目的として、どのような薬剤を用いるのが良いのかは非常に難しい問題です。

また、血栓予防は抗リン脂質抗体陽性例のみでよいのか、血小板数がどのくらいから予防薬を投与すべきかなど、今後検討すべき課題は多いと思われます。

 

(続く)

 

 <リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:53| 血栓性疾患