2012年12月11日
ITPと抗リン脂質抗体症候群(APS)(5)
抗リン脂質抗体症候群(APS)合併ITPの血栓症対策はどのようにしたらよいのでしょうか。
上図のような報告があります。
1)APS合併ITP症例で脾摘術後の血小板数上昇に対し、アスピリンによる抗血小板療法を行い血栓症を予防したという報告があります(参考:抗血栓療法)。
2)一方、APS合併ITPで脾摘後にヘパリンによる抗凝固療法を行っていたものの、肺塞栓を合併したという報告も認められ、抗凝固療法の有効性は明らかとはなっておりません。
この二つの報告のみからは、アスピリンによる抗血小板療法がAPS合併ITP症例の血小板上昇時の血栓症対策に有効そうに感じます。
しかし、管理人らは以下のような経験があります。
APS合併ITP症例で、エルトロンボパグ使用に伴う血小板数増加に対してアスピリン予防投与を行いましたが、静脈血栓塞栓症の発症を予防できませんでした。
現時点では、APS合併ITP症例に対してどのような抗血栓療法が有効かといった明らかなエビデンスはなく、大規模臨床スタディもないのが現状であり、今後の検討課題と思われます。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:46| 血栓性疾患