金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年12月24日

血友病:心筋梗塞、狭心症

論文紹介です。

参考:血友病後天性血友病rFVIIa


「血友病患者における非致死的心血管疾患の既往

著者名van de Putte DE, et al.
雑誌名:Eur J Haematol 89: 336-339, 2012.


<論文の要旨>

血友病患者では一般男性人と比較して心血管疾患(CVD)死亡率が低いとの報告がみられますが、非致死的CVDの発症率に関する情報はありません。

著者らは、生存している血友病患者におけるCVD既往について調査しました。

30歳以上の血友病患者709症例(オランダ人&英国人)において、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞の発症歴に関する情報を収集しました。

重症血友病と一般人男性における既往歴は、それぞれ心筋梗塞1.7%、4.0%、脳梗塞0%、1.5%と、血友病患者で低率の傾向にありました。

一方、狭心症は3.2%、3.7%と、ほぼ同率でした。

予想通り、頭蓋内出血は、血友病1.6%と一般人男性0.4%よりも高率でした。


以上、重症血友病であることは、急性虚血性CVDに対して阻止的に作用するものと考えられました。

 

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:43| 出血性疾患