金沢大血液内科:2011年米国血液学会(ASH)に参加して(3)
金沢大血液内科:2011年米国血液学会(ASH)に参加して(2)より続く。
「2011年米国血液学会(ASH)に参加して」(3)
全体的な印象では、幹細胞レベルでの研究が進んでおり、とにかくどの分野もゲノム網羅的解析に関する発表が盛んで遺伝子異常による層別化と標的治療が主流となりつつあるのを実感しました。
実際にそれを利用したマウスでの実験成果が多数あることに、時代に取り残されているように感じるくらい大変驚きました。
そして今回のASHで、特に日本人として一番注目し盛り上がったことといえば京都大学江藤先生の教室の、ヒトiPS細胞から血小板を大量作製できる方法の発表であったに違いありません。
全演題から6題しか選ばれないプレナリーセッションに堂々と採択されたこの演題は、同大学の高山先生が気迫溢れる発表をされ盛大な拍手で会場が包まれました。
革新的な研究成果が世界に向けて発信される場に同席できることも国際学会の醍醐味であると思える瞬間でした。
ちなみにこの発表のfirst authorである中村壮さんはまだ20代の若い研究員であったということも驚きでした。
図々しくも、日本から出た誇り高き研究者の中村さんと一緒に写真を撮らせて頂き、自慢の思い出となりました。
ポスターセッションでは日本の学会とは違い、お酒を片手に気になる内容があればその場で発表者とディスカッションできるというスタイルで、世界中から集まった臨床医、研究者と交流を深める絶好の場でありました。
つたない英語ゆえ質問してみようと思っても消極的になってしまったのですが、次回からはさらに交流を深めなければ勿体ないと痛感しました。
たった4日間であったものの、想像をはるかに超える世界の研究内容、進捗を目の当たりにし、私自身の研究・臨床両方に良い刺激となりました。
日々の研究から不可能であったことが可能になることを知り、世界中から溢れるアイディアを一つでも多く吸収し自身からも世界に向けて発信できるようさらに精進していきたいと思います。
サンディエゴは途中雨で肌寒い日もありましたが、基本的には穏やかな気候で食べ物も美味しく(特にシーフード、ウニは最高でした!)、比較的安全な地域であったため珍道中も含めて楽しく過ごせた学会でした。
学会と関係なくても、また訪れたいところです。
最後になりましたが、このような充実した機会を設けて下さった中尾教授をはじめとする第三内科の諸先生方、関係者の方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。
<リンク>
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
金沢大学血液内科・呼吸器内科HPへ
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:26| その他