APTT標準化の問題:第IX因子に対する感受性
論文紹介です。
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「APTTの注意点と標準化」
著者名:山崎 哲 他。
雑誌名:日本検査血液学会雑誌 14: 85-95, 2013.
<論文の要旨>
APTTは、最も一般的に測定されている血液凝固スクリーニング検査の一つです。
しかし、APTTは未だ標準化された検査ではなく、試薬によって各種感受性が異なることが知られてます。
著者らは、APTTの標準化に向けた作業として、各種感受性に関する再評価を行ってきました。
現在までに、健常人検体では大きな差異は認められませんでしたが、未分画ヘパリン、凝固因子(第VIII、第IX因子)およびループスアンチコアグラント(LA)に対する感受性は大きく異なる結果が示され、したがって、自施設で使用する試薬の特性を意識したうえで結果を解釈することが重要であり、さらに、試薬変更などの際には臨床サイドに十分な説明と理解を求める必要があると考えられました。
APTTの標準化に向けては、APTTに求める性能を明確した上で、一定した試薬の方向性や一律に比較可能な評価方法の設定などを、一つ一つ整理しながら進めていく必要があると考えられました。
初回の検討では、FVIIIについてはコージネイトFS(バイエル薬品)をFVIII欠乏血漿(シスメックス)に、FIXについてはノバクトM(アステラス製薬)ををFIX欠乏血漿(シスメックス)に添加して、6.3〜100%の範囲で5濃度の血漿試料を作成し、13試薬2機種でAPTTを測定しました。
その結果、FVIIIでは何れの試薬/機器でも1.2倍以上の延長度となり異常値となりましたが、FIXで1.2倍以上となってたのは、CAで6試薬、STAで2試薬のみでした。
2回目の検討では、比較用パネル血漿として上記と同様に10、30、100%の3濃度作成、各種試薬/機器の組合せで測定しました。
初回の検討と同様にFVIIIは全ての試薬で30%未満では異常値の判定となりましたが、FIXでは平均1.11倍(1.07〜1.15倍)と何れの試薬も1.2倍までの延長を示しませんでした。
以上の2回にわたる検討では、FIXの感受性がいずれも低い結果となり、現状のAPTT試薬の特性としてFVIIIに対する感受性は一定以上あるものの、FIXに対する感受性は低い傾向にあることが示唆されました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:12| 出血性疾患