2013年08月26日
抗リン脂質抗体症候群(APS)の妊娠管理(8)凝固検査
抗リン脂質抗体症候群(APS)の妊娠管理(7)症例より続く。
抗リン脂質抗体症候群(APS)の妊娠管理(8)凝固検査
妊娠中は健常妊婦であっても生理的変化として凝固亢進、線溶抑制状態になることが知られています。
実際、APTTは短縮傾向となり、FDP、Dダイマーも妊娠経過とともに漸増し基準値を大きく上回るようになります。
抗血栓療法を行うにあたり、血栓症のリスクを正確に反映するような凝固線溶マーカーがあれば非常に心強い所ですが、現時点で確立された検査はありません。
逆に、妊婦において凝固線溶マーカーの異常がみられても病的とするか否か、慎重な判断が必要です。
妊娠高血圧症候群の際は血管透過性の亢進を反映してアンチトロンビンの低下がみられます。
2012年1月よりヘパリンカルシウムの在宅自己注射が正式に認可されました。
今回の認可をうけてAPS合併妊婦の精神的、経済的負担は大きく軽減されたといえます。
欧米では低分子ヘパリン(LMWH)の投与が主流ですが、LMWHであれば1回/日投与が可能となり、さらなる負担軽減が望めます。
今後の医療環境の進歩、そして妊婦でも安全に使用できる抗凝固薬の開発が待たれます。
(続く)抗リン脂質抗体症候群(APS)の妊娠管理:インデックスへ
<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)へ
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:52| 血栓性疾患