抗リン脂質抗体症候群(APS)の妊娠管理(7)症例
抗リン脂質抗体症候群(APS)の妊娠管理(6)ヘパリン注意点より続く。
抗リン脂質抗体症候群(APS)の妊娠管理(7)症例紹介
【症例】20歳代後半女性。
【既往歴】
22歳;妊娠23週、死産。
23歳;妊娠26週、子宮内胎児死亡。右下肢深部静脈血栓症。
【病歴】
2回の妊娠中期以降死産あり。
深部静脈血栓症に対し非妊娠時はワルファリン内服をおこなっていた。
第2回妊娠時よりaPL陽性であることが判明しており、第3回妊娠時は低用量アスピリン・ヘパリン療法を行い、妊娠34週に帝王切開にて出産。
今回第4回目の妊娠が判明し当科紹介受診。
【血液検査所見】
WBC 3490/μL, Hb 9.9g/dL, 血小板数 24.3万, PT-INR 2.08(ワルファリン内服中), APTT 42.3秒, 抗カルジオリピン抗体 >120U/mL, β2GPI依存性抗カルジオリピン抗体 >125U/mL, 抗核抗体 20倍, ループスアンチコアグラント(dRVVT)1.5
【経過】
ワルファリンは低用量アスピリンおよびヘパリンカルシウム5000単位、8時間毎、皮下注に切り替え、外来経過観察となった。
妊娠21週ごろより頸管長短縮のため入院管理となり、同時にヘパリンカルシウム皮下注は未分画ヘパリンの持続点滴へと切り替えた。
妊娠32週ごろより血小板数の低下傾向(5万/μL)、血圧上昇傾向がみられはじめ、以後も血圧はさらに上昇し浮腫も増強、子宮収縮頻回、子宮内胎児発育遅延がみられ妊娠33週2日に帝王切開術施行となった。
術後速やかに血小板数は改善し、ワルファリン再開としている。
(続く)抗リン脂質抗体症候群(APS)の妊娠管理(8)凝固検査へ
<リンク>
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:39| 血栓性疾患