2013年08月28日
DICとアンチトロンビン(AT)1:APLと敗血症
播種性血管内凝固症候群(DIC)においては、血中アンチトロンビン(AT)活性が低下することが大きな特徴の一つと考えられてきた歴史があります。
確かに、敗血症に合併したDICにおいてはAT活性が低下しやすいですが、AT活性が全く低下しないDICも多数あります。
急性前骨髄球性白血病(APL)では、肝不全の合併がなければAT活性は全く低下しません。AT活性120〜130%とむしろ上昇することすらあります。APL以外の急性白血病においても同様です。
固形癌に合併したDICにおいても、肝不全の合併がなければAT活性はほとんど低下しません。
非ホジキンリンパ腫(NHL)や慢性骨髄性白血病の急性転化(図ではCML)を基礎疾患としたDICでは、AT活性が低下することがありますが、DICのためというよりも多くの場合は肝不全の合併のためです。
劇症肝炎(FH)ではAT活性が著減しますが、これもDICのためではなく肝臓でのAT産生低下が主因です。
DICにおけるAT活性低下が話題になりやすい理由としては、敗血症に合併したDICが多くの臨床医に関心をもたれているためではないかと思われます。
(続く)DICとアンチトロンビン(AT)2:敗血症、TAT へ
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:43| DIC