アミロイドーシスと出血(1)ALアミロイドーシス
<アミロイドーシスと出血>(1)
アミロイドーシスとは
アミロイドーシス(amyloidosis)とは、「アミロイド」という難溶性で繊維状の異常蛋白が、全身臓器に沈着することによって機能障害を引き起こす予後不良の疾患群です。
発症機序としては、まず”アミロイド前駆体蛋白”が作られ(その生成過程は依然として詳細不明です)、それがプロセシングを受け、重合、凝集して“アミロイド蛋白”を形成します。
全身の複数の臓器にアミロイド蛋白が沈着する「全身性アミロイドーシス」と、特定の臓器に限局して沈着する「限局性アミロイドーシス」とに分類され、さらに前駆体蛋白とアミロイド蛋白によって臨床病型が分かれます。
全身性アミロイドーシスでは出血傾向をきたすことが知られており、特に「免疫細胞性アミロイドーシス(ALアミロイドーシス)」における凝血学的異常所見は臨床的にも重要です。
免疫細胞性アミロイドーシス(ALアミロイドーシス)
免疫細胞性アミロイドーシスは、免疫グロブリン軽鎖(κ、λ)を前駆体としたAL(amyloidogenic L chain)アミロイドが全身臓器に沈着して発症する疾患で、異常形質細胞のクローン性増殖による形質細胞増殖性疾患の一種です。
骨髄腫に合併(骨髄腫ないしマクログロブリン血症に伴うAL型アミロイドーシス)して起こることもありますが、骨髄腫の診断基準を満たさない場合のほうが多いです。
症状は、アミロイドの沈着による臓器・組織の障害により発生するため多彩ですが、不整脈や心不全(心臓に沈着)、ネフローゼ症候群や腎不全(腎に沈着)、胃腸障害、肝障害(消化器系臓器に沈着)、手足のしびれや立ちくらみ・麻痺・排尿障害(末梢神経および自律神経障害)などがしばしば認められます。
<リンク>:臨床に直結する血栓止血学
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:01| 出血性疾患