金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年10月15日

アミロイドーシスと出血(3)出血傾向の治療

アミロイドーシスと出血(2)出血傾向の機序より続く。


<アミロイドーシスと出血>
(3)

ALアミロイドーシス出血傾向の治療

出血傾向に対する治療としては、1)対症療法あるいは、2)ALアミロイドーシスそのものに対する治療を行います。

1)対症療法

線溶活性化が顕著な症例には、抗線溶療法が有効です。

代表的な抗線溶剤としてトラネキサム酸(商品名:トランサミン)がありますが、合成プロテアーゼインヒビターのメシル酸ナファモスタット(商品名:フサン)も抗凝固活性に加えて抗線溶活性を有しており、凝固・線溶両者が活性化されている症例では効果が期待できます。

後天性FX欠損症などの凝固因子低下例に対しては、脾摘や補充療法を行う場合があります。

補充療法はFFP輸注、VK製剤投与、デスモプレシン(DDAVP)、血漿交換などが行われますが効果は限られており、最近は活性型プロトロンビン複合体製剤(商品名:ファイバ)、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(商品名:ノボセブン)が使用されます。

特に、ノボセブンは突然発症した大出血時の止血管理に今後期待できるかもしれません。


2)
ALアミロイドーシスそのものの治療

アミロイドーシスの出血傾向は、単一の凝固因子の欠損症である血友病などとは異なり、様々な要因が複雑に絡みあって発症しているため、最終的にはALアミロイドーシスを根本的に治療することが重要です。

近年は、完全寛解を目指しALアミロイドーシスの治療として、自己末梢血幹細胞移植(Auto-PBSCT)を併用したメルファラン大量療法などが行われており、完全寛解による異常細胞の消失に伴って出血傾向が消失し凝血学的異常所見が正常化する場合もあります。

(続く)アミロイドーシスと出血(4)第X因子低下&線溶活性化の症例


<リンク>:臨床に直結する血栓止血学

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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研修医・入局者募集

参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:30| 出血性疾患