先天性凝固異常症(10)まとめ
先天性凝固異常症(10)まとめ
血友病やvWD以外のまれな凝固因子欠乏症に遭遇した場合、一番悩むのが補充療法です。
先天性FVII欠乏症やFXI欠乏症など、凝固活性と出血症状が相関しない場合もあり、血液製剤の投与量や投与間隔は出血の既往や重症度、出血の程度、それぞれの凝固因子の必要な止血レベル、生体内回収率・半減期などを考慮し、治療計画を立てる必要があります。
十分量の補充療法を行っても、大出血や手術時には消費により半減期が短縮することがあるため、凝固因子活性のモニタリングを施行しながら止血管理を行うべきです。
さらに、FFPの使用は2005年の血液製剤の使用指針に則って適性使用を心掛けると同時に、血漿由来血液凝固因子製剤の使用にあたっては感染症や抗体産生などの危険性を常に認識しながら使用すべきです。
参考文献
・滝正志,他.血液凝固異常症全国調査,平成23年度報告書(財団法人エイズ予防財団).2012.
・Peyvandi F, Duga S, Akhavan S, Mannucci PM. Rare coagulation deficiencies. Haemophilia. 2002; 8: 308-321.
・Mannucci PM, Duga S, Peyvandi F. Recessively inherited coagulation disorders. Blood. 2004; 104: 1243-1252.
・Peyvandi F, Bolton-Mags PHB, Baltorova A, et al. Rare bleeding disorders. Haemophilia, 2012; 18: 148-153.
・Bolton-Maggs PH, Perry DJ, Chalmers EA, et al. The rare coagulation disorders - review with guidelines for management from the United Kingdom Haemophilia Centre Doctors’ Organization. Haemophilia. 2004; 10: 593-628.
(続く)先天性凝固異常症(11)先天性欠乏/異常症の特徴と製剤へ
<リンク>:臨床に直結する血栓止血学
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 11:16| 出血性疾患