13年間のMAHOLOBA通信(1)多施設多職種参加型研究会
金沢大学第三内科出身で、現在は奈良県立医科大学でご活躍中の神野正敏先生から、同門会報用の原稿をいただきました。
実は管理人と同期の桜です。
ご了解をいただきましたので、ブログ記事としてもアップさせていただきます。
近況報告
「13年間のMAHOLOBA通信」(1)by 神野正敏(昭和59年入局)
奈良県立医科大学総合医療学初代教授に就任された中村忍先生のご高配により、奈良に職を得てから早13年になります。
この間同門会出席もままならず、ご無礼しておりますが、昨今はSNSを通じて多くの先輩、後輩の先生方と交流させていただくようになり、現況を楽しみに拝見させていただいています。
総合医療学講座は、総合診療科を標榜し、高度な専門医療の提供が使命である大学病院において、プライマリー・ケアが実践できる「総合内科医」を育成するという自己矛盾と相対して苦戦を強いられました。
一方で、本来の生業であった悪性リンパ腫診療の分野でも、奈良における充実に取り組みました。
総合診療科の入院ベッドを利用して、なりふり構わぬ診療を行った結果、「総合診療科は悪性リンパ腫科」か?と、揶揄されながらも、病院内外から「リンパ腫は総合診療科へ紹介」という流れがごく自然にできるまでに至りました。
しかし、その後の診療体制見直しに加えて、附属病院が都道府県がん診療連携拠点病院認定されたことを機に、平成20年に附属病院中央部門である腫瘍センターにセンター長として移動を命じられました。
おもな業務は、外来化学療法室運営とがん化学療法のレジメン管理・運用です。
外来化学療法室では多臓器の化学療法レジメンオーダーを受ける関係上、専従医師として各臓器・領域の標準療法や投与時のおもな有害事象プロファイルは一通り理解し、対応する必要があります。
そのため、齢50歳を前に記銘力障害と闘いつつ日本臨床腫瘍学会の「がん薬物療法専門医」を取得し、否応なく血液内科医から「腫瘍内科医」への変容を迫られました。
化学療法を専門とする腫瘍内科医は日本ではまだ認知度が低く、必要な人材や入院病床は簡単には確保できません。
自施設のみで悩んでいても埒が明かないので、化学療法に関する情報共有や補完ができないかと県内のおもな医療機関に呼びかけたところ、有志で多施設多職種参加型研究会(Medical And HOListic Oncology Brush-up Academy、略して「まほろば(MAHOLOBA)塾」と称しています)を立ち上げることになりました。
同じネットワークでオンライン多施設合同Webカンファレンス(キャンサーボード)の実験的試行も始めたところです。
サバイバー支援も含め「がんチーム医療」の分野で、奈良から発信できるロールモデルを創り出せないか、と無い知恵を絞りつつ、日々もがいています。
(続く)13年間のMAHOLOBA通信(2)趣味の音楽へ
<リンク>:臨床に直結する血栓止血学
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:28| その他