セカンドオピニオン外来(1)受診の理由
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からの原稿です。
ブログで先行してアップさせていただきます。
今回は当科の中尾教授の原稿です。
セカンドオピニオン外来の風景(1)by 中尾眞二
金沢大学病院では2005年からセカンドオピニオン外来が開設され、年間約180人の患者さんが保険外診療として各科を受診している。
この制度が始まった当時、私は副病院長を務めていた。
病院の執行部会議でセカンドオピニオン外来の新設が提案された際に、是非やりましょうと後押ししたのを覚えている。
私がこの制度をありがたいと思ったのは、次の患者さんを待たせているという精神的な重圧なしに患者さんとゆっくり話ができると思ったからである。
血液難病を専門にしていると、患者さんが予告なしに遠方から来院することが時々ある。
特に、当時は病院が完全予約制をとっていなかったため、遠方から初診患者さんが来ると早々に話を切り上げるわけにもいかず、その結果、待っている他の患者さんに迷惑がかかるということがしばしばあった。
その点、セカンドオピニオン外来は自分の空いている時間を選んで実施するため、他の患者さんのことを気にせずにじっくり患者さんの話を聞いたり病状を説明したりすることができる。
セカンドオピニオン外来受診の理由
セカンドオピニオン外来を訪れる患者さんの受診目的は大きく分けて二種類ある。
一つは、治療方針に関する主治医の説明に十分納得しているが、重大な選択であるため、念のため別の医師の意見を聞きたいという場合である。
この目的で来院する患者さんの多くは悪性疾患と診断された方である。
もう一つは、病気の経過が良くないので、次の治療をどうするかを経験の多い別の医師に聞きたいという場合である。
これは、治療方針に関するエビデンスが乏しい難病の場合に多い。
セカンドオピニオン外来への受診は当院への転院を前提としないことになっているので、担当者の意見が主治医の治療方針と異なる場合には、患者さん自身が選択した治療を主治医にお願いする、ということになる。
私がセカンドオピニオン外来の対象にしているのは同種造血幹細胞の適応に関する相談と、再生不良性貧血や骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome; MDS)などの骨髄不全の治療に関する相談である。
対象をこれらに絞っている理由は、これらの状態・疾患の場合、治療方針に関するエビデンスが十分に確立されていないため、医師によって意見が異なることが多く、治療方針を説明するために長時間を要するためである。
結果的に、私のセカンドオピニオン外来を訪れる患者さんの多くは、上記の二つの目的のうち後者の「主治医が治療方針に窮している場合」ということになる。
(続く)セカンドオピニオン外来(2)申し込み、受診、診療へ
<リンク>:臨床に直結する血栓止血学
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:42| その他