笑いの力(4):金沢大学第三内科同門会報
笑いの力(3):金沢大学第三内科同門会報より続く。
「笑いの力」(4) by 福井社会保険病院 内科主任部長 小澤眞二
極限状況での笑い・ユーモアも重要である。
その一例としてアルフォンス・デーケンの言葉をあげる。
彼は、金沢にも講演に来られたことがある上智大学名誉教授で哲学者、死生学の研究者である。
彼の著書から、「私の母国ドイツでは、ユーモアとは<にもかかわらず>笑うことである」という定義があるそうだ。
これは、自分はいま大変苦しくつらい状態だが、それにもかかわらず、相手を少しでも喜ばせようとほほえみかける優しい心遣いがユーモア精神であるという意味だそうである。
ときには笑顔が言葉よりも多くの思いを伝える。
もう一人、第2次世界大戦中ユダヤ人であるがためにナチスによって強制収容所に送られた体験をもとに「夜と霧」を著わしたオーストリアの精神科医ヴィクトール・フランクルである。
彼は極限的な体験をしたが、ユーモアとウィットを愛して生き残った。
彼の著書から、「私たちがまだ持っていた幻想は、ひとつまたひとつと潰えていった。そうなるとおもいもよらない感情がこみあげた。やけくそのユーモアだ!」、
「ユーモアも自分を見失わないための魂の武器だ。ユーモアとは知られているように、ほんの数秒でも周囲から距離をとり、状況にうちひしがれないために、人間という存在にそなわっているなにかなのだ」、
「強制収容所の人間をしっかりさせるためには、未来の目的をみつめさせること、つまり人生が自分を待っている、だれかが自分を待っているとつねに思い出させることが重要だった。」
—これらの言葉は、重篤な患者を持ったりすることがあるわれわれにも役立つと思う。
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<リンク>「臨床に直結する血栓止血学」
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:26| 医学全般