金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年12月16日

富山労災病院便り(5)アスベスト関連疾患

富山労災病院便り(4)アスベスト疾患センターより続く。

富山労災病院便り(5) 

以下、当院の一番の特徴であり、また私の仕事のメインであるアスベスト疾患センターに関して宣伝がてら記載させて頂きます。

設立の経緯は前述の通りで、一番の目的は、国民のアスベストに対する不安への対処です。

そのための、業務内容としては、相談、健診、診療、啓発、医師への教育、研究等です。

相談は紹介患者様や、医師からの相談だけではなく、アスベストに関する不安や疑問をお持ちの一般市民や事業者の方からも直接受けることを国から指示されていて、実際多くの方が、遠くは福井からも、直接相談に訪れておられます。

もちろん他院で診療中の患者様や御遺族の方も来院されます。

このような事例もありました。「私は、来週、肺癌の手術を受けることになっているんです。私は現役時代にアスベストを吸ったんです。

「「アスベストが私の肺癌の原因ではないのでしょうか?」と主治医に何度言っても、まったく取り合ってくれないんです。」

この患者様には石綿肺癌について国の補償う受けることができる要件等を丁寧に説明し、主治医あてにお手紙をお書きし、納得して帰っていただきました。

また、過去にアスベストばく露を受けた方は、原則一生アスベスト関連疾患発症率が高く、また潜伏期が40年程度の疾患もあり、早期発見が必要で、国は、要件を満たす離職者に継続的に健診を無料で受けるサービスを提供しています。

当院ではその健診を毎日行っており、時に石綿肺癌をはじめアスベスト関連疾患が見つかります。

もちろんアスベスト関連疾患を発症してしまった方には、適切な入院、外来診療を行っています。

アスベスト関連疾患は5つありますが、疾患ではないものの、胸部健診時等に注意が必要なアスベスト関連所見(アスベストプラークと言います)や、石綿に特徴的で稀であったり、また医学的に診断の難しい疾患があり、診断が困難な疾患もあります。

また、病気を診療するだけでは不十分で、患者様の労災や、環境省の補償に関する判断や、申請関連の書類作成が必要です。

しかし、一般の臨床医には補償を受けることの出来る要件の解釈や書類の書き方が難しいです。

当センターで私が、患者様御自身や御家族様、他医療機関の主治医の先生方のサポートしております。

また日本では肺がん一般の約10%が石綿が原因とされています。

肺癌を診たら必ず石綿に関する職業歴の聴取が必要です。

以上の状況があり、厚労省からの委託事業として、石綿関連疾患の診断技術等の普及を目的に、全国のアスベスト疾患センターの先生方とチームを組んで全国を講習に回っています。

 
(続く)富山労災病院便り(インデックス)

 <リンク>推薦書籍「臨床に直結する血栓止血学
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:21| その他