金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2015年05月30日

膝関節の紫変:CBT

CBT(コアカリ)の復元問題と解説です。

8歳の男児.膝関節が紫変しているのに母親が気付き,来院した.体育の授業後に転倒したという.祖父も小さいころ同様の症状があったという.
考えられる疾患はどれか.

a  von Willebrand 病

b  Bernard-Soulier症候群

c  血友病

d  血小板無力症

e  特発性血小板減少性紫斑病(ITP)

f  血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)

g  播種性血管内凝固症候群(DIC)

h  アレルギー性紫斑病

i  ビタミンK欠乏症

j  白血病




(問題傾向)
祖父にも同様の出血症状がみられたため、先天性出血性素因が疑われます。
患者は男性、そして祖父(男性)も罹患しているため、伴性劣性遺伝の疾患を疑わせます。
膝関節の紫変は、膝関節内出血があったのかもしれません。



(解説)

  血友病 A or B
von Willebrand病
遺伝 伴性劣性 I型:常染色体優性
性別 男性のみ 男性、女性
出血部位 関節内出血、筋肉内出血 粘膜出血(鼻出血など)
本態 血友病A:第VIII因子欠損、
血友病B:第IX因子欠損
von Willebrand因子活性の低下
出血時間 正常 延長
PT 
正常 正常
APTT
延長 延長
vWF因子活性 正常 低下
第VIII因子 血友病Aでは低下 低下
第IX因子 血友病Bでは低下 正常
治療
血友病A:第VIII因子製剤 、血友病B:第IX因子製剤 血漿由来第VIII因子製剤(vWF含有に限る)、DDAVP


(正答)c


<リンク>
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

血液凝固検査入門(図解)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:44| 医師国家試験・専門医試験対策