金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年06月01日

血小板・凝固因子産生低下:CBT

CBT再現問題と解説です。

疾患名と病態の組合せで、誤っているのはどれか。


A 肝硬変 ——— 凝固因子産生低下

B 壊血病 ——— 血小板機能低下

C 白血病 ——— 血小板減少

D アナフィラクトイド紫斑病 ——— 血管内皮障害

E DIC ——— 凝固因子欠乏


(解説)
A 全ての凝固因子は肝臓で産生されるために、肝硬変では凝固因子産生が低下しています(ただし第VIII因子は低下しません)。

B 壊血病は、ビタミンC不足状態で毛細血管が脆弱となって出血傾向をきたす「歴史的」な疾患です。現在はまず遭遇することはありません(管理人は1例も経験していません)。血小板機能には影響はありません。

C 白血病は、骨髄中に白血病細胞が増加することで骨髄抑制をきたして(巨核球が低下して)、血小板産生が低下します。その結果、血小板数低下をきたします。

D アナフィラクトイド紫斑病(アレルギー性紫斑病、シェーンライン・へノッホ紫斑病とも言う)は、IgA複合体が血管内皮に結合することで血管内皮障害をきたします。

E 播種性血管内凝固症候群(DIC)は、基礎疾患の存在下に全身性持続性の著しい凝固活性化をきたし、細小血管内に微小血栓が多発する重篤な病態です。多発する血栓の材料として血小板や凝固因子は消費性に低下します。


(参考)

<出血の原因>


1.    血小板数の低下:急性白血病、再生不良性貧血、肝硬変、DICなど。

2.    血小板機能の低下:血小板無力症、NSAID内服など。

3.    凝固異常:ビタミンK欠乏症、血友病、DICなど。

4.    過度の線溶活性化:線溶亢進型DICなど。

5.    血管壁の脆弱性:遺伝性出血性毛細血管拡張症(オスラー病)など。


<血小板数低下の原因>


1.    血小板産生低下:急性白血病、再生不良性貧血など。

2.    血小板の破壊・消費:特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、播種性血管内凝固症候群(DIC)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)など。

3.    血小板分布異常:脾機能亢進症など



(正解) B


<リンク>
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:48| 医師国家試験・専門医試験対策