きのこをめぐる冒険(II)Asian Aerosol Conference(AAC)
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会報原稿からです。
きのこをめぐる冒険(II)Asian Aerosol Conference(AAC)
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50歳も過ぎれば、“自分ご褒美”が必要だ。
人にわかってしまう贅沢品などには興味はない。
乗ってみるのだったら、招請講演の帰りと決めていたが、
立派すぎるシートは、創作活動には不向きだ。
原稿も仕上がらなければ、思い浮かんだ旋律さえ書きとめられなかった。
おそらく“なにもしないという贅沢”が求められる空間なのだ。
差額に価値を見出そうなどという姑息な作戦は、陽あたりの良い丘陵を思い浮かべることができないワインを口にした時点で失敗に終わる。
どうやら、自分ご褒美を受け取りそこなったようだ。こんな時は、“蛍の光”が流れる閉店まぎわのデパチカに限る。
そこには極上の笑顔が約束されている。
「先生。今度、国際学会ですよ。6月。金沢です。」
「金沢で国際学会?」
「Asian Aerosol Conference。AACです。基調講演お願いしますよ。」
メーカーのブースでは、各社、最新機器を得意げにPRしている。
各国の色彩感あふれる熱気が4日間にわたって会場周辺に漂った。
<担子菌とアレルギー性呼吸器疾患>。
発信さえしつづけていれば、そこに何かを見出す誰かがきっといる。
「あのスライド、アンコールワットですよね。夜の帳が下りる直前の、密林のワット遺跡群。
先生からのメッセージのようにも思えましたが。」
— つながなくてはいけない。若い研究者たちに繋がなくては —
11月に入って、TK大学の学生さんから、手紙が届いた。
— おかげさまで、学位論文通りました!本当にありがとうございました。—
ヤケイロタケのPCR解析に関する論文だ。
ペコリと頭をさげた彼女の微笑みが思い出され、なによりの“ご褒美”になった。
「先生、もう乗った? グラン・く・ら・す!」
「まさか。乗るわけないだろ。。。」
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:05| その他