金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報/巻頭言(5)
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会報原稿からです。
今回は、巻頭言です。
「小泉純一郎は第三内科同門会に現れるか」(5)
by 橘 秀樹(加賀たちばな元気クリニック 院長)
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そんな真っ暗な夜中でも人がいなくなったわけではないので、在宅患者さんが熱を出せば往診に行きます。
呼吸が止まればお看取りに行きます。
そんな生活を12年以上していると、高齢化社会にあって在宅医の使命の最大のものは間違いなく、より良く「死なすこと」だと思うようになりました。
聞くところによりますと、一周忌で親戚が集まった時に、訴訟を起こす話になることが多いそうです。
病院とは違い、在宅ではそのようなことはまだ少ないですが、それでもどうせなら、一周忌の時に訴訟の話ではなく、
「うちの爺様は大往生だったなぁ。あんな幸せな最後で良かったなぁ。自分もあんな風に死にたいなぁ」
と親戚一同が美味しいお酒を飲みながら話せるようにしたい。
その方が、訴訟に勝って何千万円もらうよりもずっと幸せなはず。
それを手助けするかが在宅医の仕事な気がする。
危篤状態の患家へ車を走らせながら、どう「助ける」のではなく、どう「看取る」のが最高なのか、そんなことばかり考える今日この頃です。
だって歴史上、死ななかった人はいないんですから。
そして目の前には、死期が決して遠くはない高齢の通院できなくなった終末期の人ばかりがいるんですから。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:43| その他