MPV、PDW（血小板マーカー）
血小板関連の検査と言えば、血小板数、血小板凝集能、血小板粘着能、出血時間あたりをまず思い浮かべられることと思います。特に、血小板数が最も基本的かつ大事な検査だと思います。血小板数の正常値は、15〜40万／μLです。
推薦図書：「臨床に直結する血栓止血学」
血小板数は、自動血球計算機で簡単に測定されますが、実がこの時に他の血小板関連検査が同時に算出されています。
それは、MPV、PDWです。血液内科専門医でもひょとしたら無視している人が多いかも知れません。
１）MPV（mean platelet volume）：日本語では、平均血小板容積です。
２）PDW（platelet distribution width）：日本語では、血小板分布幅です。
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MPVは、文字通り血小板容積の平均をみています。簡単に言えば、血小板の大きさということになります。
MPVが大きくなる疾患としては、特発性血小板減少性紫斑病（ITP）が代表的です。血小板は、産生された直後の時期は大きく、経過とともに次第に小さくなることが知られています。ITPでは、血小板が末梢で破壊されていますので、骨髄からの若い血小板産生が亢進しています。それで、MPVは大きい訳です。
一方、MPVが小さくなる疾患としては、再生不良性貧血が代表的です。これらの疾患では、骨髄からの血小板産生が低下しています。そのため流血中の血小板は長い経過をとっていることになります。血小板は小さく（MPVは小さく）なる訳です。
PDWは、血小板容積の分布幅を反映しています。小さい血小板から大きい血小板まで広く分布していますと、PDWは大きくなります。通常、MPVが大きいとPDWも大きくなります。たとえば、ITPでは、MPVは大きいですが、PDWも大きくなります。
一方、PDWが小さくなる疾患としては、再生不良性貧血が代表的です。血小板産生が低下しているため、MPVが小さい血小板が多くなります。そのためPDWも小さくなります。
このように、MPVとPDWは、正の相関をすることが多いです。
なお、管理人の個人的な印象ですが、MPVよりもPDWの方が鋭敏に変動しやすいように思っています。
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投稿者：血液内科・呼吸器内科at 07:34| 出血性疾患 | コメント(3)
◆この記事へのコメント：
お忙しい所、申し訳ありません。ぜひ、質問したい事があり、コメントを書かせてもらいました。私は、栄養士として福祉施設で勤務していますが、利用者の方の血液検査の結果を見せてもらった所、ＭＰＶが10.5で高値、ＰＤＷが11.6低値と正相関が生じてない方がいらっしゃいます。そういう場合は、どういう状態が考えられますでしょうか。お時間がある時に回答して頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。ちなみにその利用者の方の疾病は、低酸素脳症の後遺症で、てんかんがあり、今は車イスで過ごされています。てんかんの薬の副作用で、肝機能の数値（総ビリルビン）もあまり良くない状態です。
投稿者：たゆ： at 2009/02/08 16:31
たゆさん、この度はご訪問ありがとうございます。
MPVと、PDWの正常値は、用いている測定機器によって異なると思います。たとえば、私たちの施設での正常値は以下の通りです。
MPV 9.1〜12.3（fL）
PDW 10.0〜17.1（fL）
ですから、MPVが10.5、PDWが11.6と言うのはどちらも正常（低めの正常）という判定になります。
貴施設での正常値はいかがでしょうか？
投稿者：血液内科・呼吸器内科： at 2009/02/09 14:34
２月８日にコメント（ＭＰＶとＰＤＷの正常値について）を書かせて頂いたものです。
お忙しい中、早々とコメントを頂きましてありがとうございます。お返事が遅くなってしまい、申し訳ありません。
私共の福祉施設は、デイサービスのみで、重度の障害を持った方が通う施設ですが、残念ながら医師が常駐しておらず、医療行為が行うことが出来ない施設です。その為、利用者の方は、それぞれ外部の病院で定期健診を行って頂いております。
質問した利用者の方の病院の検査結果表では、高値や低値となっていましたが、正常（低めの正常）という判定ということで安心しました。栄養士として、知識が足りていないようなので、更に勉強が必要であると教えて頂いたような気がします。
丁寧なコメントを頂きまして、本当にありがとうございました。
投稿者：たゆ： at 2009/02/22 21:36